第12話
「ぬぅぅ~~。駄目か。失敗なのかっ。わざわざ匂いまで嗅がせてやったのに失敗なのかっ!」
そう言ったリースは、少しご立腹の様子。両手を握り締めて勇樹の頭を思いっきり殴っているが、触覚や痛覚に刺激は与えられないので意味はない。
「ドンマイです、リース様。まだ第一作戦が失敗したに過ぎないのです」
リースの少し横で浮かんでいるポチが言う。さっきまでたくさん開いていたはずの穴は、いつの間にか塞がっている。
「ぬわにっ? ポチ軍曹、新しい作戦があるのかっ?」
作戦という言葉に反応したのか、軍人口調のリース。
「サー、イエッス、サー。いいえ、今考え中でありますです」
ご主人様のリースに合わせてポチ軍曹は敬礼しながら答えた。
「なんだよ~~。考え中かよ。早く考えれ」
「あーい。考えるです。もうちょっと、待ってくださいです。ポチはあれですよ。出来る子ですから、きっとステキな作戦を考え付いちゃうのです」
「うん。頑張れ」
「まー、どんなステキな作戦を考えようとも、私たちが勇樹を悪魔の誘惑から守っちゃうんだけどね」
勇樹の左肩の上でサンは不敵な笑みを浮かべた。
「はいっ、はーーいっ! 考え付いたですよ。流石のポチです。ポチはやっぱり出来る子です。え……と、さっきは今したいことで誘惑したのに無理だったので、今度は好きなことで誘惑してみるのです」
「おお! 中々の妙案。でかしたぞ。よし、次はそれでいってみよう。レッツ、サイチャレンズィ」
言って、リースは思う。
好きなこと……
大好きなこと……
楽しいこと……
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