第5章
5-1-1
その年の大晦日、久美から0時を目指して八幡宮に初詣に行こうよって、誘われていたけど、男の人達もきっと居るからと思って、家に許してもらえないからと断っていた。だけど、元旦に充君からラグビーの大会を見に行こうって誘われていた。私、そんなに興味ないんだけど、初めてのデートなんだからと、うれしくてOKしていた。
元旦から出掛けるのでお母さんに話すと
「まぁ デート? 充君とー?」
「ううん 全国大会見たいっていうから・・私も見てみたいからね」
「ふふふー わかったわ 行ってらっしゃい 息抜きも必要よね 初めてね そんなのー サダちゃんの初デートかー 少し、可愛くお化粧してあげるから」
というわけで、皆でお正月のお祝いをして、家を出る前に、眼元を少しとチークを塗って、口紅もうすーく引いてくれた。髪の毛も横の部分をピンクのリボンで留めてくれた。
「ねぇ 濃くない?」
「そんなことないよ いつもあなたがしているのに比べたら、お上品よ これっくらいわね よーし これでブスって言う子なんかいるはずがないわ それにね あなた 普段険しい眼なのに、充君に会うとなると穏やかで可愛らしい眼になるのね 不思議なもんね でも、我が子ながら可愛いわよ あのねマスク3枚くらい持っていきなさいね 口紅も塗ったから ついていたら、マスク交換するのよ」
駅前で待ち合わせをしていて、充君の姿をみつけた。こっち見てる。小走りで駆け寄って行って、かぶってたフードを脱いで
「おはよう 充君 あけましておめでとう」
「・・・紗奈・・・」
「どうしたのー 充く~ん」
「・・・紗奈・・ 可愛い・・最初見て、見間違いかと思った マスクもしてるしな」
「うふふっ 残念でした 他の子じゃぁなくて・・ でも、ありがとう そんなに可愛い?」
「あぁー こんなに変身するもんなんだなー」
「変身じゃぁないよー 充君に見てもらいたいから・・」
「うん だけど お前 そのー マントが歩いているみたい なんか穿いているよなー」
「へぇ ミニだよ でも、ちゃんとインナーも付いてござんすよーだ」
私は、グレーのダッフル調のフード付きのマントコートにタートルの白いセーターとベージュ色のスカート、黒のハーフブーツで渾身の可愛い服装のつもりだった。スカートが短くて、マントだけで歩いているように見えるのだ。
「そうかー 可愛すぎるよー いいのかなー こんな子連れててー」
「充君 めっちゃ 褒めてくれるね うれしいよ じゃぁ いこー」と、私は手を差し出して、無理やり、繋いでもらった。お互い、少し、恥ずかしいんだと思うけど・・。
ホームに上がると反対側の京都行のホームに十和姉ちゃんの姿が・・・妹さんと着物姿のお母さんが一緒みたい。妹さんが私達をみつけて、ちょこんとお辞儀をしてきたが、十和姉ちゃんは、ジーと私をみつめたきりだった。私は、思わず、頭を少しさげていた。その時、お互いのホームに電車が入ってきて、それっきりだったけど・・
「ねぇ あの子 充君に挨拶したのかしら・・」
「そんなことないだろー でも、あれから、学校行くとき、電車で会うと頭ぐらいは下げるようになった」
「ふーん それだけ?」
その時、私は・・・ジェラシーというものを初めて感じていたのだ。
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