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9月になって、充君が日曜日には、図書館の自習室で一緒に勉強しようと誘ってくれた。コロナ過でも、自習室は感染対策をして解放してくれているのだ。私は、浮かれてしまって、ミニスカートでいそいそと待ち合わせの図書館に小走りで行った。
私は、数Ⅰの問題集を、充君は数Ⅱのをやるようにしていた。私が考え込むと、充君はわかるように説明してくれていたのだ。席は離されていたが、時折、隣から、顔を寄せてくると、私は、ドキドキして、夢のような時間だった。生きてきて、こんなにうれしいことがあるなんて、思ってもいなかった。
「紗奈 次はそのミニやめてくれ どうも チラチラと眼がいってしまってー 落ち着かん」
「えぇー 充君でも そーなんやー チラチラでなくてもええやん ちゃんと見たらー ウチ 充君やったら平気やでー ウフッ じゃぁー 今度はジーンにするね でも、ウチこんなんしか持ってへんねんけどな」
「あぁ ウチの高校 男子高やろー 見慣れてないからー」
「あっ そうかー じゃぁ どっか 遊びに行った時には、スカートでも良い?」
「・・・遊びに行くって・・? あのー それとさー そのシャンプーの香りかなー 俺には刺激強すぎるんだけどー ドキドキする」
「・・だってー これは・・ お母さんがね ウチの髪の毛をできるだけ真直ぐになるようにって探してくれたのー」
「あー すまん 悪かった 俺 そんなことわからんかったからー すまん それは、慣れるよ いい香りだからな ウン」
「ありがと 充君 やっぱり 優しいね 昔のまんま エヘッ」
一緒に居るのは午前中だけだったんだけど、私は、家に帰ってからもお昼ご飯を食べて、直ぐに机に向かっていた。それを見たお母さんが
「サダちゃん この頃 ずーと お勉強なのね どうしたの? 昨日も寝てないんじゃぁないの? 平気? なんかにとりつかれた?」
「お母さん ひどい言い方ね 褒めてくれてもいいんじゃぁない? ウチだってやる時はやる のよ」
「へぇー ずーと続くといいんだけどー なんか 怖い 身震いしてきたわ」どうして、この人は私のことをこんな風に・・・あなたの娘はもっとすごいんだから・・
「それより なぁー お母さん ジーンこおてーなー ウチ 持ってへんやろー」
「いいけどー なんか 最近 変わったわねー サダちゃん 妙に明るくなったしー お金渡すから、自分で買ってきてー」
どうも昔からお母さんは私には優しい言葉をかけてくれた記憶がない。見てろー 馬鹿母よ ウチは京大に行くんだから 愛しの彼と・・
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