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 私も、長袖のブラウスにして袖を捲って、スカートもだんだんと短くなっていたみたい。それに、最近、ずーと久美と一緒だから、勝も私にかまわなくなっていた。というのも、久美が上級生の良くない連中と遊んでいるのを知っているのだろう。関わりを持つのが怖いのだ。そういう点では、久美に感謝していた。


 だけど、クラスのみんなの眼には、私も不良の仲間だと見えてしまっているのだろう。ほとんど、声をかけてくる子も居なくなっていた。それよりも、完全に私を避けていた。


「サナ 土曜日に 隣の駅までカラオケに行こうよ あっちの方が安いんだー」


「うーん だって ウチ ヘタなんやでー」


「いいの! ウチかてヘタやー だから、二人だけなんやから なんも 恥ずかしくないやん ヘタでも思いっきり歌えるし なっ」


「うん 行ってみるかー ウチのん聞いても 笑わんとってなー」


「わかった そのかわり あんまり どん臭い恰好してきたら あかんでー」


 私は、思い切って、家の中でしか穿かないタイトな黄色のミニスカートにTシャツ、それと、お母さんのピンクサンゴのネックレスを内緒で持ち出して出掛けた。駅で待ち合わせた久美は、やっぱりタイトな白いミニと赤いノースリーブ、金属のチャラチャラしたベルトに首にも安物の金色のネックレスをしていた。


 歌い始めると、私のほうが、まだ、マシっていうくらい久美はヘタクソで、それでも、堂々と歌っているから、何とかなっていた。そのうち、久美はカバンからチューハイみたいなものを取り出して


「えへっー 少しだけね サナも飲んでみる もう1本あるよ」と、差し出してきた。


「私 ダメだよ 飲んだことないものー」


「まぁ まぁ どうってことないよ ノンアルコールだよ」


 一口飲んでみたけど、そーかー少し、苦い気がするけどジュースみたいなもんだわと、思ってしまっていた。


 もう、1時間の連絡があった時、久美が後30分延長しようかって言っていた時、数人の人が部屋ん中に入ってきて


「よう 久美 来てたんかー じゃー 一緒にやろうぜ」


 男と女のグループ。中には、ウチの3年の山長茜やまおさあかねさん。女の子の中でも不良グループのリーダーという評判の人。男の人とお互い腰に手をまわして、入ってきた。あとは、やっぱり、見たことあるけどウチの高校の上級生の女の子。それに、よその高校の男子みたいだった。もう、卒業しているのかもしれない。男が4人、でも、山長茜さんと、もう1人はウチの高校の上級生。


「いいよー その代わり 場所代 出してよ」と、久美がなんてことを・・。


「おう 任せとけー」と、久美と私の間に座った。すぐに、彼らはお酒を注文して、歌い出した。それに、合わせて久美も歌っていた。私は、黙ったきり、ジュースといわれたのを飲んでいたんけど、なんか、顔が熱くなっていた。


 そのうち、茜さんは隣の男の手を取って、フレァーなレンガ色のスカートの下で自分の太腿に挟むようにして、時々、パープル色のパンティが見えていた。久美の隣の男も久美の肩を引き寄せて胸に手を、もう一方で太腿に手を置いて、スカートの中にまで・・。久美も、もう、捲れて、パンティも見えてしまっていた。時々、あの部分にも・・だけど、久美は抵抗する素振りはなかったのだ。もう一人の高校の上級生の女の子も男の子と仲よくやっていた。私の隣の男も肩を引き寄せようとするんだけど、私は歌にのっているふりをして、なんとなくはぐらかしていた。だけど、そのうち、ぼーっとしてきて、肩を引き寄せられていることに気づいたんだけど、どうでもよくなっていた。だけど、太腿への手だけは押さえて拒んでいた。そしたら、私の胸に手が伸びてきた時、私は「おトイレ」と、言ってその場を逃れて、ふらふらとしながら、トイレに行って、戻った時、久美に「もう 帰るね」と言って、茜さんの眼を見て、頭だけを下げて、店を出てきた。


 なんだか、まだ、ふらふらしている感じだった。多分、後から飲んだのもお酒だったのかなーと歩いていると、後ろから久美の声が聞こえてきた。


「まってよー いきなり 帰っちゃうんだものー」


「だって 二人っきりって話 だったじゃぁない あんなの嫌 久美だって 男の人に触られてたじゃぁない」


「うーん だったかなー いいじゃん 楽しけりゃー」


「私は 嫌 あんなの いやらしいー 知らない人だし」


「ごめんね つい 一緒になっちゃったからー 面白いよー あの人達」


「うーん だって 危険じゃぁないの? あの人達」


「ううん 嫌なことはしてこないよ」


「そう だけど 私には、あんなこと 嫌なことなの わかったー 久美」


「うん わかったよー ごめんね 怒らないでね サナ」


「別に 怒ってないよ 久美」


 だけど、私は自分がどこに向かっているのかわからなくなっていた。仮に、お母さんから 「あなた 何やってんのよー」と、聞かれたりしても、何にも言い返せないだろう。


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