やまない雨と皆の様子

仲仁へび(旧:離久)

第1話



「雨がやまないと部活が外でできないよ」


「雨がやまない、外にでかけられないや」


「雨がやまないなら、イベントはなしだな」


 一年の中、雨が主役の時期がやってくる。


 それは梅雨。


 新生活が始まってすぐやってくるもの。


 しとしとしと。


 しとしとしと。


 もうずっとだよ。


 終わらない。


 じめじめ状態でカビが生えちゃう。


 こっちの家の人も、傘をさして通りを歩いている人も、向かいのアパートに住んでる人も、きっとみんな思ってる。


 雨、やまないな。


 ずっと、続いてる。


 数日間、雨がやまない。


 ひょっとしたら一週間ずっと?


 二週間は嫌だなぁ。


 ふりやまないと困ってしまう。


 傘がしまえない。


 長靴放置。


 雨合羽はつねに待機状態。


 雨具がないと困ります。


 雨つづく。


 まだ続く。


 いつまで続くの?


 いい加減うんざりしてしまうよ。


 一日、二日、三日も続く。


 一週間も続いたら、うつうつとしちゃう。


 一か月も続いたら、ゆうつになっちゃうよね。


 しとしとしと。


 しとしとしと。


「まだやまないな」


「いつやむんだ」


「はやくやんでくれよ」


 雨がやまない。


 気分が晴れない。


 太陽普段はいつもあるけれど。


 姿をみないと、調子が出ない。


 しとしとしと。


 しとしとしと。


「いつ」


「いつまで」


「いつになったら」


 皆は頭上を見上げてる。


 しきりに空を気にしてる。


 きっと多くの人が同じことを考えてる。


 だって、雨の時期。


 梅雨だから。


 雨しかないけど、見上げてる。


 どんよりした空、見上げてる。


 分厚い雲の向こう。


 そこに、太陽はあるのに。


 って。


 今日も明日も、明後日も。


 雨が続くと言うのなら。


 大人も子供も老人も、皆いっしょに見上げてる。


「いつやむのかな」


「まだかなあ」


 そんな一年の中の、一つの時期の話。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

やまない雨と皆の様子 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ