第8話 魔法の国からやってきた、ちょっとあざとい女の子


 まぁ、気にしても仕方がないので早速特殊個体ってのを拝ませてもらいますか。



「魔法少女の特殊個体購入。」



<仮想世界システム>

 魔法少女㈵:2,500WP


【購入しますか?】



「購入だ。」




【世界で最初の魔法少女が現れました。100WPを獲得しました。

 ボーナスとして初めの魔法少女㈵は存在強度が5倍に強化されます。

 特殊個体として生み出された為、存在強度が20倍に強化されます。

 世界で初めて魔法の概念が生み出されました。100WPを獲得しました。

 ボーナスとして初めの魔法少女㈵は存在強度が10倍に強化されます。

 条件を満たした為、魔法少女㈵は魔王種になりました。

 ボーナスとして魔王種魔法少女㈵は存在強度が5倍に強化されます。】



【魔王種魔法少女㈵の個体名を設定して下さい。】



「サリリで。」




 魔法少女と言えばサリリだろ。理由? それを聞いてはいけない。




「ステータス」




<仮想世界システム>

 創造神ああああ:ランク28

 WP:717,240P


 購入

 売却

 環境設定

 生命の存在強度

 世界へ介入

 履歴

 対戦モード


 生命体の数:6


 強者リスト 一位 魔王種始祖吸血鬼ダイ:存在強度4,171,722

       二位 魔王種魔法少女㈵サリリ:存在強度3,600,000

       三位 原種吸血鬼1 :存在強度1,382,053

       四位 原種吸血鬼86:存在強度467,541

       五位 原種吸血鬼33:存在強度433,145

       六位 原種吸血鬼3 :存在強度409,982





 1,000,000くらいを三体欲しいと思っていたが、想像以上に強いのが出来た。やはり初回ボーナスのコンボは大切だ。今後も慎重に使っていくことにしよう。



 魔法少女を確認してみようと映像を見てみると、高校生くらいの巨乳でスタイルの良い可愛らしい女の子がいかにも魔法少女な恰好でいかにも魔法のステッキっぽい物を持って立っていた。




 確かに可愛い。



 ダイなんて早速話しかけている。



 二人の会話を聞いてみよう。




「こんな所でどうしました? お嬢さん。」


「私、急にここへ連れて来られて……。これからどうしたら良いのか分からないの。」


 と、ウルウル上目遣いでダイに助けを求めるような雰囲気のサリリ。



 あざとい。



「それは大変だったね、お嬢さん。僕の名前はダイ。これでも魔王をやっている。良ければ僕の魔王軍に入りませんか? アットホームで和気あいあいとした職場が売りですよ。魔王軍に入れば、きっと君の助けになるよ。君のやりたい事も見つかるかもしれないし。」



 と爽やかな笑みで魔王軍に勧誘するダイ。流石元勇者。勇者歴は一瞬だったけど。

 


 そして、そのアットホームな職場はつい先刻、新入社員96名の殉職者が出てるけどね。あと、その誘い方ブラック企業っぽいからやめて。




「私、サリリって言います。ありがとう。ダイ君って優しいね。」


 と少女は花が咲いたような笑顔を見せる。



「私、決めた! 魔王軍に入ってダイ君を助けるわ。魔法なら得意だから任せてね!あっ。勝手にダイ君なんて呼んじゃってごめんなさい。私ったら……。」



 顔を手で隠し、私恥ずかしいですアピールをするサリリ。


 あざと過ぎる……が男は余裕で引っかかるだろうな。






 だって見てくれよ。



 ダイの鼻の下があんなに伸びてやがるんだぜ? そして目線はお胸。



 魔王の威厳どこいった?




「お待ち下さい魔王様!」



 原種吸血鬼1が待ったを掛ける。


 彼女はなかなかの美人さんだ。



「その者が何者であるかも確かめず、魔王軍に入れるだなんて。」


 そうよそうよ、と他の原種吸血鬼達も彼女に追従する。彼女等もまぁまぁ美人である。


「サリリちゃんは自己紹介してたじゃないか。」


 おまっ。いきなりちゃん呼びかよ。毒され過ぎだろ。


 ほら見ろ。原種吸血鬼達が苦虫を噛み潰したような顔に歪んでるじゃないか。


 ボソッと「ちっ。私達の魔王様に近づきやがって毒婦が……。」と嫉妬まる出しのセリフまで吐いている奴もいる。



 このディスプレイは高性能でほんの小さな呟きまで音声を拾ってくれるのだ。



 それを聞きとがめたサリリは、一瞬だけニヤッと笑い「永続コントロール、対象小うるさい雌共。」と囁く。



 すると、やいのやいのとサリリが加入する事にうるさく反対していた彼女等は急に静かになり……。



「良く考えてみれば、しっかり挨拶も出来て魔法も使えるなら文句ありませんね。しかもこんなに可愛い!」


 と一人が言うやいなや、そうね、確かにそうだわ。と先程までの態度は本当になんだったのかと思うくらい、彼女等は180度意見を反転させてしまった。


 そして彼女等の視線は何やら怪しく、定まっていない。



 明らかに操られている。



 ダイはそうだろう、そうだろう。と笑顔で操られた皆を見ている。サリリの異常さに気付いた様子は全くない。




 俺はその光景に絶句する。



 これが魔法少女……。



 なんと恐ろしい……。ヘルプの説明が何故あんなだったのか、嫌でも理解してしまった。



 なにはともあれ、これなら上手くやっていける……のか?



 まぁ、健全な人間関係ではないが。




「サリリ……か。これじゃあ、魔法使いじゃなくて外道使いだな。」


 ポソっと俺は呟いた。




 その瞬間。




【個体名:魔王種魔法少女㈵サリリに外道使いの称号を与えました。

 外道な行いをする際、存在強度に1.2倍の補正が付きます。

 100WPを獲得しました。】







 外道使いサリリになってしまった……。


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