にくのおうこく

白雪工房

ほしのうみ

ある ふかい もりのおくに とりのかぞくが すんでいました。


ことりは 7にんきょうだいの すえっこで


いつも そらばかり ながめていました。




そんなだから にいさんたちは かれのことを みて


「へんなやつ、そらばかりみて なにがたのしいんだか」


と わらいました。



かれの おやだって そらばかり ながめていることりに


「あなたも にいさんたちがやるように きのみや むしを とってきたら?」


と おこごとを いうのでした。



でも そのこえが ことりに とどいたかというと そうでは ありません。


やっぱり ことりは そらを みあげていました。



そらをみて かれは いつも


ああ あのまんてんの ほしぞらに てがとどくなら。


とだけ かんがえて いました。


ことりの めには ひかりかがやく ほしぼししか みえて いなかったのです。



そして ことりや かれのにいさんたちが すっかり おおきく なったころ。


ことりに むかって とうさんは いいました。


「もう おまえも おおきくなった


すをはなれて ひとりで いきていきなさい。」



ことりは すこしなやんでから こうこたえました。


「わかったよ とうさん しんぱいしないで


ぼくには いきたいばしょが あるんだ。」



そして ことりは あとから うまれてきた きょうだいたちに わかれをつげて。


つばさを おおきくひろげ とびたちました。



それから もりをぬけて とおくとおく とんだことりは


いつしか あおく ひろい うみにつきました。


つばさを たたんで ことりは いつものように


そらを みあげました。



そらには くもひとつなく ほしぞらが くっきりみえていました。


「なんて いいてんきだろう これならきっと せいこうするに ちがいない。」


そういって ことりは ちからいっぱい そらへ はばたきました。



とびつづける なかで


かぜが ことりのからだを ふきとばそうと しました。


たかが ことりをたべようと おそいかかってきました。


でも そんなことが きにならないくらい ことりは ひっしでした。



じぶんを ばかにしていた きょうだいたちも きっと


いまの ことりには なんでもなくて


ただ あのほしぞらにふれたいという おもいだけが ことりを はげしく つきうごかすのでした。



そしていつしか すんでいたもりも だんだん ちいさくみえてきたころ。


ことりのからだが すこしばかり ふらつきました。


それでもことりは なんてことないと とびつづけました。



そして とうとう もりがみえなくなったころ


ことりのつばさが はげしく いたみました。


ながいあいだ つばさをうごかしつづけていた


ことりのからだには もうとっくに げんかいがきていたのです。



それでも ことりは かまうものかと よりおおきく


つばさを うごかしました。


ことりの からだは なんだか もえているような きさえ しました。


そして ついに ほしぞらにとびだした ことりは



そらから おちてきた ほしのひとつに ぶつかりました。


ほしの おおきさとくらべたら ことりは あまりにも ちいさくて。


ちいさな ことりのからだは たくさんの ながれぼしに なって うみに ふりそそぎました。


そのとき ながれぼしのふった うみを


「ほしのうみ」 と よぶように なったと いうことです。








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