第11話

朝になって、中学に提出するために、昨日、自分で書いておいた卒業文集を見返してみた。霊の女の子の名前のところや、その女の子の生まれや、そういった箇所の、いくつか空欄になってたから、あとで想像して書こうと思って、どうやら昨日、途中で寝ちゃったみたいだ。

適当に書きたして、提出しとこっ!


もうすぐ中学の卒業式。

部屋にいると、毎日めっちゃえっちな絵を描きたくなってくる。

勉強していても、いつも、えっちな絵を描きたくなるから、えっち専用ノートを作って、えっちな絵を描きまくっている。

えっちな姿の女の子の絵を描いて、それから、女の子とボクとで、えっちなことしてる絵を。

ずっと、ボクの部屋で、夜あらわれてる霊の女の子を想像して描いているのかも。

ボクの描く絵の女の子は、ちっちゃくて可愛い女の子。でも、凄くえっち。ボクのことを愛撫してくれてる。ボクも女の子を愛撫してる。


明日は中学の卒業式。

夜、裸で、えっちな格好で寝てたら、

「明日で中学生も卒業ですねーっ!」

って女の子の声、いきなり聞こえてきたから、びっくりして飛び起きた。

「うわっ、しゃべってるーっ!」

「中学卒業おめでとうーっ」

「うわ~、ありがとうーっ!」


「今日で、あなたのところに来るのは最後なの。今まで、ありがとう!」

「えーっ、ボクのほうこそ、ありがとうだよーっ!」

「うちは、明日から、本来の、うちの居場所に戻ります。この部屋とも、お別れなの」

「えーっ、そんなあああ、中3の間、ずっと、いつも、ボクの側にいてくれてたのに...」

「でも、また、今までみたいに、あなたと会えるのよっ!」

「どこに行けば会えるの?」

「高校で毎日、会えるの!」

「やったあああ!嬉しい~!」

「でも、あなたは、うちと出会っても、うちだってことは、わからないし、うちも、あなたと会っても、あなただってこと、わからないのよっ...」

「あっ、じゃあ、ノートに書いておくよ...霊の女の子と高校で出会う...その女の子は...あっ、名前は?」

「かえよっ!」

「かよちゃんですねっ...かよちゃんと出会う...」

「かえだよーっ!」

「あ、かえちゃんなの?」

「そうだよーっ!香る絵と書いて香絵だよーっ」

「香る絵と書く香絵ちゃんと出会う...よしっ!書いといた!」

「明日になったら、文字、消えてるけどねっ」

「えーっ、消えてるのっ?」

「うんっ...あっ、そうだ、写真見たい?」

「えっ、見たい見たい!見せてーっ!」

「はいっ!」

天井のほうから、ハラリと1枚の写真、落ちて来た。2人の女の子の写真。

「うちは、ちっちゃいほう。サングラスして、カッコいい子は、うちの親友!」

「うわ~、ほんとだ!親友の子、めっちゃカッコいいーっ!」

「そうでしょ、みんな、親友のほうを見ちゃうのよね~」

「でもボクは香絵ちゃん、ちっちゃくて可愛くて、今なら断然、香絵ちゃんのほう好きーっ!前なら、親友の女の子めっちゃタイプだったけど」

「どうも、ありがとっ!...あっ、もうすぐ0時になっちゃうから、これで行くわねっ!バイバ~イ。またね~」

「うわーっ!バイバ~イ。高校で会おうっ」


部屋の中から、香絵ちゃんの存在感、フッと消えてしまった。写真も、いっしょに、フッと消えてなくなった...

ボクは、香絵ちゃんとのえっちを想像しながら、眠りについた。

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