第44話 運命の再会

 私事で恐縮です(私事しか書いてません)が、最愛のパソコンが寿命を迎えた話の続きです。


 以前からお世話になっているパソコン屋さんに、持ち込み修理をお願いしました。

「機械に弱いソウマチが、パソコン屋さんとお付き合いがあるとは?」と不思議に思う方がいたら、大正解! 名推理です!

 

 もともとは、ずっと昔に無職だった頃、職業訓練でお世話になっていたのです。

パソコンの触り方を、すごく易しく教えてくれた。その学校と併設して、パソコンショップがあるのを覚えていたので、泣きついた次第。


 お世話になっていたのは10年以上も前です。スタッフも変わって、あちらは私を知らないはず。

電話に出てくれたスタッフさんに、自己紹介をします。

「〇〇町の〇〇(本名)と申します。以前、職業訓練でお世話になりました。パソコンが壊れたみたいなので、診てほしいのですが…」

「〇〇さん、お久しぶりです♪ 鈴木(仮名)です♪」

「わ~! 鈴木先生~!? お久しぶりです!!」

なんと、当時の先生がいらっしゃいました! 嬉しい再会!

相変わらず、可愛くて優しい声♪


「先生~! パソコンが壊れたんです~! めっちゃ困ってるんです!!」

「アラアラ、それはたいへん! すぐ担当の者から、ご連絡させますね。元気出してくださいね♪」

相変わらず、心癒される先生です。


 すぐに担当の増田さん(仮名)から連絡がありました。

増田さんが私の部屋に出張するよりも、私がお店にパソコンを持ち込んだほうが、時間もお金も節約できるとのこと。それなら、持ち込みます。


 クルマはナイので、彼に泣きつきます。彼は快く、重たいパソコンを運んでくれる。

「鈴木先生、お世話になります~! お久しぶりです~! あっ! 森先生! その節は、お世話になりました!」

なんと! 鈴木先生だけでなく、森先生もいらっしゃる! これって、フツーなんですか? 私が前にいた相談業界は、平均の勤続年数が3年(短い!)だったので、同じ方が同じ職場にいるのって、すごく不思議。

 

 先生方は10年前と同じお仕事を、ずっとなさっているのか……。

先生方と出会った頃の私は、無職で独身でした。その後、うっかり非合法のお仕事に就職して2週間でクビになって、結婚して離婚して、就職して退職して、また就職して退職して、今は本を書いてます。紆余曲折を経て今に至りますが「無職で独身」なのは、当時とおんなじ。一周回って、当時とおんなじ。おんなじだけど、ぜんぜん違う。「いま、どうしてるの?」って聞かれたら、なんと答えるのが正解なんだろう?

急に、不安が押し寄せてきます。先生たちに心配をかけず、無難な答えを……!!

いや、それよりもパソコンの修理を!! でもお金ナイし!! お金、払えるのかっっっ!?

 思い出やパソコンやお金のことで、パニックになる私。 


 混乱する私を前に、森先生がのんびり言いました。

「この間、仙石さんのラジオに出てたでしょ~? 聞きましたよ~♪」

「えええええっっっ!?」

バレてる! 私がソウマチって、森先生にバレてる! なんでっ!?


「あのラジオね~、この事務所で毎朝聞いてるの。 みんなで聞いたよぅ♪」

みんなでっっっ!? じゃあ森先生だけじゃなく、鈴木先生も増田さんも、他の方たちもっっっ!?

私がソウマチとバレることはナイやろうと、公共の電波で「おしり♡」とか「おっぱい♡」とか言いましたけどっっっ!? 「エロ小説書きたかった」とか言いましたけどっっっ!? あれ、聴いてらしたんですかっっっ!?

なんでソウマチが私って、わかったんですかっっっ!?


「声と話し方とね~、前に市役所で働いてたってハナシから♪」

うわああああああ!!!!!! まさか知り合いが聴いていたとはああああ!!!

知らない人なら、平気なんです。平気でおしりとかおっぱいも言えるし、エロい話もできる。でも田舎の狭い町で、知り合いに知られるのはいやああああああ!!!!

自業自得、因果応報、自縄自縛、壊滅必至、自爆壊滅、再起不能……。

詰んだ。終わった。しんだ……。

自分が悪いんですけど、自分の責任なんですけど……。


 その後、データは取り出せることが判明。パソコンも、修理が可能とのこと。

お別れしたはずのパソコンと、運命の再会が叶うことになりました。

その再会は嬉しいのですが、それにともなう先生たちとの運命の再会で、私の電子計算機能が破損しました……。いっそ、私の記憶領域も破損してほしい……。


……………(← ラジオやテレビ出演を、いろいろと思い出している)

うわああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!



























 












 

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