第17話 現在地は、崖っぷち?
以前、一回目の離婚をして一人暮らしをしていた頃のお話です。
職場で雑談をしている時に、私は言いました。「私、ケガするわ、病気するわ、自転車盗まれるわ、貯金ナイわ、離婚するわ、崖っぷちかも~!?」すると同僚がすごく言いにくそうに、口を開きました。
「あの……。崖っぷちどころか、すでに崖から跳んでます……」
「えっ!? 私、踏みしめる崖さえナイのっ!? 崖っぷちから、跳んでるのっ!? これから、どうなるのっ!?」
「崖から跳んだら、落ちるだけです……」
「ひょえぇ~! 自分でもちょっとタイヘンかも……って思ってたけど、他人様から見たら、終わってるんだ……」
「残念ですけど、終わってます……」
そこから起死回生のウルトラCを決めてピンチを乗り切り、あれやこれやのトラブルを乗り越える間に二回目の結婚と離婚をして、今日に至ります。
そして現在は、ふたたび一人暮らしです。「崖っぷちから跳んでる」と言われたあの頃とちがうのは、離婚のバツが増えたのと、仕事をしていないこと。今、バツ2無職なんです。あの頃より、ひどくなってる…………。
そういえば昨日「お財布に、一枚もお札が入ってないな~」と思ったのを思い出しました。ちょっと気になるので、所持金を確認してみますね。ゴソゴソ(← お財布のお金を数えている)。
706円、入っていました。タバコは一箱500円ですから、タバコは買える。まだ大丈夫♪ (← 大丈夫じゃない)
本を出す前に「作家というのは、本を売ったお金で生活できている人」だと考えていました。正直に言うと、今も同じ考えです。私は本を1冊出してもらいましたけれど、それで生活はムリです。だから私は、まだ作家ではナイと考えています。
けれども取材を受ける際は「作家のソウマチです」と名乗ります。だって作家として取材をしてくださるのに私が「作家じゃない」と否定してしまうと、大前提が台無しになるからです。
ありがたいことに幸運が重なって、新聞や広報誌に10回以上、テレビに2回、YouTubeに1回取材をして頂きました。8月にはラジオ出演と、子どもさんにミニ講演会をします。10月にも、講演会があります。
だって本が出たから。だって作家だから。
わたしが、作家ねぇ……(ため息)。百歩譲って、出版社から依頼を受けてお話を執筆している最中なら「私、作家かも?」くらいは、言えるかもしれません。でも今は、依頼がナイのです。
あなたは「でも『姫さまですよねっ!?』の二巻は出るやろ? そっちは、どうなった?」と心配してくださるかもしれません。二巻の原稿は、すでに提出しました。私は書くのが、めちゃめちゃ速いです。前のお仕事で真面目な文書を何千枚と作成していたので、パソコンのタイピングがめちゃめちゃ速い。話す速度で打ち込むので、あっという間に出来上がります。
そして編集さまからのお返事を待っている今、手持ち無沙汰なのです。はああ……。二巻の校了が終わるまで新しい仕事を始める勇気はナイし、かと言って、することもナイ……。お金もナイし、ナイナイ尽くしです。
こんな私を表現する適切な語句は「作家」ではナイです。正しい語句は「無職の引きこもり」。
崖っぷちから跳んで、そろそろ海面に叩きつけられるかも……。でも実は、あんまり気にしてナイです。海面に叩きつけられるのも、小説のネタになるから♪ 見ていてください。私は再び起死回生のウルトラCを決めて、華麗に舞い上がりますから☆
これからラジオの打合わせが始まります。当日は生放送(!)なので、事前の取材をして頂くのです。「無職の引きこもり」の皮を脱いで、「作家」の皮に着替えます。
ちょっと、行ってきます~!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます