第068話 授業料

 凶器の割れて尖ったワイングラスの刃が、礼儀作法指南女官のK宮中伯夫人の背後を襲うも、幸いにして近衛兵が身を挺して庇い、彼女は血を流す事はなかったが、衆人環視の中、婚約破棄されたA伯爵令嬢は、王宮の大広間で刃傷沙汰を起こした罪で断罪された。


(授業料をケチった家族をこそ、怨みなさい)




★☆★


『刃傷松の廊下』ならぬ『刃傷王宮婚約破棄後パーティー』


王室に嫁ぐ事が決まったA伯爵令嬢も、普通の貴族の淑女としての行儀作法は身に着けていたので、K宮中伯夫人の施す王妃教育を軽んじ、A伯爵が、謝礼金を出し渋った。


(ちっ。田舎貴族め)

と思いながらの王妃教育は、A伯爵令嬢の覚えが悪いという感じで遅々と進まず、その結果、現王妃の不興を買い、不適格として婚約破棄される。


その日のパーティーは、恥ずかしさでさっさと帰宅するが、その後に行われた王宮・大広間のパーティー。


A伯爵令嬢は、自分が婚約破棄されたのは、K宮中伯夫人がちゃんと教えてくれなかったせいだ、と、ワイングラスを割り、尖った方をナイフに見立て、K宮中伯夫人の背後から、

「あの時の遺恨、思い知れ~」

と。



無理こ矢理こ、捻り出したよ。(あー。危なかった)

でも、この設定…妄想するには、おもろいかも。


☆★☆


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