第57話

「チィッッッッ!!!」

 

 ライントの手に握られている一振りの剣。

 それが目の前に相対している化け物に向けられる。


「@ogubfzdls;l;z@giuj:l\a;/;oi:ubh ;lar/:vzpfd]iubh c;kln/.mz/l:p0oriauvj:h blj;k\opai」

 

 化け物。

 それは邪神と縁のある存在ではないだろう。

 人の認識とはズレた文字化けとでも言うべき言語で会話する化け物とは違う。

 何か、多くの魔物が合成して混ざりあったような怪物。

 忌むべき魔物がそこにはいた。


「ハァッ!!!」

 

 魔物は好き放題暴れ、この街に建てられた建物の数々を吹き飛ばしていく。

 民衆はここらへんにいるから人的被害は出ていないけど……物損的な被害であればかなり出てしまっているだろう。

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!俺らの家がァ!!!」


「……ッ!?ちょ、ちょっと止められないの!?」


「いやぁ……もうこの街無理じゃないかな?」

 

 光り輝く剣を持って巨大な魔物と戦っているライント。

 その魔物はさほど強そうではない。

 ただただカラフルな胴体に両腕、両足がついている他、何もない存在。

 本当に腕を動かす以外の攻撃方法を持たず、そして、その動きも大した速さではない。

 

「……ッ!」

 

 だがしかし、再生速度も異様なまでに早くてどれだけライントが圧倒的な力をぶつけてもなお決して倒れることはない。

 

「めんどくさそうな相手だなぁ」

  

 僕な素直な感想。

 

「いや、お前が出るべきじゃないのか?……あいつが敵わないんじゃ、俺らには無理だぞ」


「……面倒そうじゃん」

 

「いや、やれよ」

 

 僕とガンジスがダラダラと会話しながら、戦いたくないなぁ……と思いながら準備運動をしていると……。


「……ッ!!!こっちに!?」

 

 ライントの飛ばしてきた斬撃によって吹き飛んできた家の破片がこちらの方へと全速力で向かってきているの確認することが出来た。


「何しているんだが『神より宿し天命:壱式:双刀』」


 僕は刀を取り出して飛んできた全ての破片を斬り飛ばす。


「うし、と……やるかぁ……」

 

 僕が動き出そうとした瞬間。


「こ、皇帝陛下……?」


「……ァ?」

 

 僕は決して呼ばれちゃいけない自分の本名を呼ばれて一瞬だけ動揺した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る