第32話
SSランク級冒険者、アル。
そんな彼の正体がアルビナ帝国皇帝、アルミスであることを知っているのは意外と少ない。
あの日、僕は全力でアルミスであると宣言したのだが、それを知っているのはギルド職員とあの場にいたごく少数。
そして、そのごく少数にも強力な箝口令が敷かれているため、広まってもいない。
であるため、実はマキナと共に失踪扱いを受けていた僕はアルとしてリューエス王国へとやってきていた。
「……」
大雨の中。
「何なんだだよ!?急になんでこんな大雨が!?」
「いままでは快晴だったじゃねぇか!?」
「帰れ!帰れ!帰れえぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!」
「クッソ!店じまいだァ!!!準備段階から店じまいだァ!!!」
大慌てで店を片付け、お家へと帰っていくリューエス王国の人たち。
「……」
帝国に貼った結界。
高科学全天レーザー首都防壁には何も……雨粒一つ当たっていない。
恐らく……帝都からはきれいな日の出が見れることだろうか。
「なにこれ?」
理解出来ない。
なんで???雨雲がマキナの移動に合わせて移動してきたよ?
なにこれ???
意思を持って動く雨雲って何?ものすごい狭い範囲でマキナめがけて振り続ける雨って何?怖すぎない?なにこれ?本当になにこれ。まじで理解出来ない。
「この時間じゃ冒険者ギルドも空いていないし、私の家に行こう?」
「あ、あぁ……うん。そうだね」
意気揚々と歩き出したマキナの後を僕はついていく。
何故だろうか?……やけに嫌な予感がするのだけども……。
そして、マキナの家の前に僕とマキナがついた途端。
ピシャーンッ!!!
「あっ」
雷の直撃を受けたマキナの家は大きな音をたてて崩れ落ちていった。
「あちゃー。またかぁ……よっこいしょっと」
壊れたはずの家。
だが、マキナがごそごそと残骸を漁った途端。
魔力の渦が上がるのと同時に逆再開かのように巻き戻っていく。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!?」
そんな光景を見た僕は思わず大きな声をあげた。
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