第11話
「くくく……」
僕はストレフの言葉を聞いて
「復讐?そんなくだらぬことに僕が手をわずらわせるとでも?……わかるだろう?僕の獣に。気づいているだろう?僕の獣に。殺せ、殺せ、殺せ。すべてを喰らって頂点をッ!!!」
「……ッ!?」
僕の瞳に魅入られれたストレフは……一歩、足を退く。
その瞳に浮かぶは怯え。
「わかるだろう?僕が頂点に至るには正攻法じゃ無理だ。だからこそ、一番上の兄に失態を塗りつけ、父を殺すことで僕も狙える状況を作る。どうだ?素晴らしいだろう?」
僕は笑いながら、自分がしてきたことを語る。
ねずみ講を使って第一皇子を失脚させ、僕と第二皇子の狂気と暴走に恐れる父を殺し、帝位戦が行われるように仕組む。
すべてうまく行っている。
「帝位を奪う……僕はそんな簡単なことにしか興味はない。頂点ッ!頂点ッ!頂点頂点頂点頂点頂点頂点ンンンンンンンンンンンン!!!それしかッ!興味ないッ!」
「そ、それが……お前の答えなのか。帝国という巨大な捕食者に捨てられた惨めなゴミは……頂点に至ることで過去を雪辱するつもりか」
「……ァ?」
僕はストレフの言葉に首を傾げる。
「過去に雪辱……?俺様は己が過去も、虐げられた過去も……何もかもどうでも良い。あれもまた必要なことだ。俺様が頂点を欲すはただ単に己が本能だ。喰えとうるさいんだよ。俺様の本能は……だが、その本能は過去に囚われたものである……そうかもなァ。が、今となっちゃどうでも良い。俺様は喰らうだけだ」
「……け、獣……知性ある獣。最悪の……化け物を帝国を産み出したのだな」
「あんたは手を出さねぇことをオススメしておくぜぇ。ただの老いぼれがいるべき場じゃねぇ……俺様は何も持たず、第二皇子は既に何もかもを手にしている……どれだけ壊し、我が物と出来るかのゲームだァ……そのゲームに巻き込まれたくはねぇだろ?」
「……最悪の兄弟だ。第一皇子殿下は秀才で常識を弁えた模範的な皇子……お前らのような狂人が居なければ立派な為政者になられたであろう。兄弟があまりにも悪すぎた。あの御方じゃ無理だ。そして、どれだけの貴族が……」
ストレフが体を震わせ、口を動かす。
「だ、だが。私はこの帝国の宰相だ。もし、帝国に何かあれば……容赦なく動く。それをよく覚えておくと良い」
ストレフは強い言葉で警告を発する。
第一皇子はもちろん……第二皇子や僕でも宰相を落とすには時間がかかるだろう。
「そうかい。ま、好きにしろや。俺様の興味はあんたにねぇ」
僕は席から立ち上がり、
うるさい。
ここに来てから僕の本能がすべてを喰らえと非常にうるさかった。
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