第4話
朝日が登り、鳥が元気よく鳴き始めるようになる朝。
マキナの家にドアを叩く甲高い音が響き渡る。
「はーい」
僕は寝ぼけ眼を擦ってドアを開ける。
「おはようございます。第三皇子殿下」
「……は?」
マキナの家のドアをノックし、外にいたのは昨日僕の元にやってきたアルビナ帝国よりやってきた使者である女性だった。
「誰だ。お前」
僕は一言で吐き捨て、ドアを閉めようとする。関わりたくない。
「あぁ。自己紹介がまだでしたね」
女性が当たり前のようにドアに足を挟んで、口を開く。
「私はサーシャと申します。よろしくおねがいしますね」
「いや、名前を名乗れって意味じゃないから。さっさと帰れや」
「いえ、帰りません」
僕の言葉に対してサーシャと名乗った女性ははっきりとNOを突きつける。
「……」
僕は無理矢理にでもドアを閉めようと力を入れる……サーシャの足を捻り潰すつもりで。
「……は?」
だが、サーシャの足は鉄のように硬く、どれだけ力を込めても閉めることができなかった。
これ以上力を入れてしまえばドアが壊れてしまうだろう。
「ちょっと入りますよ」
「は?」
サーシャの姿が僕の目の前から消え、真横へと移動する。
「……転移系の能力」
神より宿し天命には短距離転移が可能なものも存在する……なんて面倒な相手なんだし。
「早く帰ってくれん?」
「お話を聞いていただけるまで帰りません」
「ハァー」
頑として動こうとしないサーシャを前に僕はため息を吐く。なんで帝国の人間はこんなしつこいやつを送ってくるんだし。
「お前さ。どこの派閥の人間?」
「第二皇子殿下のですが」
「……あんたの上司のイメージアップのためにわざわざ帝国に行く理由がないのわかるでしょう?第二皇子とか僕を迫害していた筆頭だよ?そいつの味方になるために僕が帝国に戻るわけないでしょう?帰れ」
僕は女性から視線を外し、リビングの方へと戻る。
「……」
当たり前のように僕の後についてリビングの方に来ようとするサーシャ。
「帰れよッ!?」
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