第12話

 ビキニアーマーに身を包み、弓を手に握っているマキナ。

 両目を黒い布で多い、メイド服を着こなし、モーニングスターを握っているミリア。

 パジャマ姿で特に何も持っていない僕。

 この三人でダンジョンにまで来ていた。


「すみません……私が初めて潜るせいで一階層からになってしまいまして……」

 

「良いよ、良いよ。別に」


「……うん。構わないわよ。とりあえずは一人でどれだけ頑張れるかね。実力を図るためにも一人で頑張って頂戴」


「はい。お任せください。マキナ様」

 

 ミリアを先頭にして僕たちは歩き始める。

 一階層に置いて出てくるのはスライムやゴブリンなどと言った『神より宿し天命』を使えるように訓練していない一般人でも倒せるレベルの雑魚モンスター。

 ミリアはモーニングスターを手足のように振り回し、魔物の頭を陥没させていく。

 

「……思ったよりも振り回すの疲れますね。……素振りと実際に叩いて潰すのでは勝手が違う……」

 

 モーニングスターを完全に扱いこなすのに苦労しているミリアを眺めながら、僕とマキナはダラダラ会話しながら進んでいく。


「……埋め合わせはいつしてくれる?」

 

 ちょっとだけ膨れ顔のマキナが僕に尋ねてくる。

 ……完全に忘れていた。確か、埋め合わせをすると話していたよね。


「ん。そうだね……ミリアの服も買いたいし、明日にでも行く?」


「嫌。以前の内容は二人で出かけるもの。ミリアも一緒は嫌」


「む。そうか……じゃあ、ミリアが出かけている時だな。一週間後、ミリアを奴隷商の方に送って選別させようと思っているから、そのときにしようか」

 

「うん!楽しみにしているね!」

 

 満面の笑みを浮かべているマキナが僕の言葉に頷く。


「……ん?」

 

 ブンブンと振り回されるミリアのモーニングスター。

 それに吹き飛ばされた魔物の一体が僕の方へと飛んでくる。


「よいしょ」

 

 僕は『神より宿し天命』を出すこともなく足を動かし……蹴り一つで肉片一つ残さず破散させる。


「も、も、申し訳ありません!ご主人さま!そちらの方に魔物を飛ばしてしまいましたッ!」

 

「ん?あぁ……別に気にすることじゃないよ。これくらい大した苦労でもないしね。一階層踏破も後少し。さっさと次の階層に行こうか」


「はい。承知いたしました」

 

 ミリアは僕の言葉に頷き……ダンジョンの下位層へと進んでいった。

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