2 かりん・まりんペア
「ふぁ⁉ 部活を新設するの⁉」
「ええそうです」と、二葉さんは眼鏡をくい上げする。
いやいや無理だって。それに私、嫌だよ。睦高に入学した意味ないじゃん。
また親友だと思っていたあの子と、顔を合わせなきゃいけなくなるかもしれないのは、もう……。
「わっ、ちょっと二葉さん⁉」
「行きますよ! うかうかしていたら、ライバルたちにばかり練習の時間を与えてしまいますからね!」
「ええっ、嘘っ。本当に今から⁉ というかっ、私には拒否権ないの~⁉」
二葉さんに腕を引っ張られ、連れて来られたのは1年B組。ちなみに私たちはE組ね。
「どうしてここに? 職員室にでも行くのかと思った」
「まずはメンバー集めからです。ここには、あの
「え! かりん・まりんペアの⁉」
「ええそうです」と、二葉さんは眼鏡をくい上げする。もう何回目よ、それ。
でもなんで、かりん・まりんペアが、バド部のない睦高なんかにいるんだろう?
「あ、いたいた……。四谷花林さん、伍井茉鈴さん、少しお話よろしいでしょうか」
二人は「なん?」と声を揃えて振り向いた。ビー玉のように綺麗な瞳が私たちを映す。
わ! 本物だ!
手の届かない存在である二人を眼前に、一瞬にして緊張が走った。
だって双子のように息の合ったプレーをする彼女たちは、県大はもちろん、全国大会にも進出するようなレベルの選手たちなのである。
背格好も容姿も双子のようで、二人とも髪を二つに結んでいる。四谷さんはツインテール、伍井さんはツイン三つ編みだ。胸の大きさは、どちらもBカップとみた。
「ちょっと茉鈴、突然の爆乳よ」
「リアルで拝めるなんて、入学早々にして
え、待って。なんか思い描いていた人と違うんだけれど……。それに爆乳違うし。
「なになにっ? 私たちに何か用なのっ?」
「もしかして、さらなるバストアップを望んで私たちに会いに来たのっ?」
二人とも片手に持っていた、
敬遠されなくて何よりだけれど、身の危険を感じて仕方がない。そう思って私は、自分を抱きしめるように胸を隠す。
怯える私をよそに、二葉さんは堂々とした態度のまま、眼鏡をくい上げすると言った。
「いえ、違います。私たちはこれからバドミントン部を新設するので、ぜひお二人にもご同行をして頂きたくお願いに来ました」
「ちょっと、私は立ち上げにも参加しないし、入部する気もないからねっ?」
そう訴える私に被せるように、「え~っ?」と二人は面倒くさそうに声を上げると、仲良く眉をぐにゃりと曲げた。
「私たちまたバドやんの? やだよ、だってもう知っちゃったもんね茉鈴?」
「そうよ、そう。きつい練習後の百合ものより、浴びるように読む自由な時間をね?」
なんか、お酒みたいに言ってるし。
「え? 何、二葉さん?」
突然、後ろから肩を掴まれて、私はぽかんとなった。
「どうぞ。お好きなようにしてもらって構いません」
「ええっ⁉」
キラリーンと放たれた4つの眼光を胸に注がれ、私は戦慄した。身震いを起こしながら、慌てて胸をガードした。
けれど相手の方が一枚も二枚も
「
「ね、花林?」
「へ? 何、きゃっ!」
ガバッと伍井さんにセーラースカートを捲られた。
「「水色~♡」」
もうっ、かりん・まりんペア~! こんなことに息を合わせるなんて、絶対に違うんだから~!!
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