第10話 高校1年の夏②

「志織ちゃんだね、おぼえた」


「気安く下の名前で呼ばないでくれる?穢れるわ」


「なんで急に?!名乗ったの加藤さんなのに……」


「言い方がいかにもなチャラ男で、気分を害したわ」


「理不尽だ!僕まだ純潔なのに」


「そんなの口ではいくらでも取り繕えるわよ」


「さっきから気になってたんだけど、加藤さんなんか僕に当たり強くない?」


「気のせいよ(硬派なヤンキーも見たら逃げ出す笑み)」


「こわい……やっぱり、僕もうかえ……る」


「なにか言ったかしら?(満面の笑み)」


「いいえ(全力で首を横に振る)」


「ならいいわ(静かな微笑み)」


「ふぁ……」


「やけに眠そうね。期末テストの勉強でもしてたのかしら?夏とはいえこんな所で寝てたら風邪ひくわよ」


「テスト?……そういえばあったかも」


「勉強なんてしなくても、僕は一位を取れるって言いたいのね。分かる分かる」


「そんな事言ってないよ?!目の奥暗くしないで」


「授業受けていたら誰でも一位を取れる〜加藤はバカだと言いたいんだ〜ごめんなさい〜♪」


「お願いだから正気に戻って加藤さん!僕が何かしたなら謝るから」


「どれだけ努力しても〜所詮へっぽこポンコツポンコツ加藤さん〜♪ぽんぽんぽんポンコツ太郎」


「僕でよければ話し聞くよ!!だからお願い、せめてさっきまでの加藤さんに戻って!!」


「ぽんぽん………。はあ、疲れたわ」


「いや、僕も」

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