第109話 ユータvsジラント・ドラゴン「聖光解放!ブラスト・エクスカリバー!」

「聖剣エクスカリバー。それがユータの契約武器なんだ」

「ああ。これが神龍精霊ペンドラゴンの契約武器、聖剣エクスカリバーだ」


「すごい魔力……なんて神々しいのかしら」

 見惚れるように呟きながらアリエッタが息を飲む。


「うわ、すごーい! つよそー(*'▽')」

 回復を終えてちょうど合流してきたキララも、にぱーといい笑顔になった。


 離れた場所にいるユリーナやルナ、リューネ、クララも一様に驚いた顔をこっちを見ている。

 聖剣エクスカリバーの膨大な魔力と恐ろしい程の存在感を、全員が感じ取っただろう。

 それだけで状況は察してくれたはずだ。

 言葉はいらない。

 それほどまでの圧倒的な力を、聖剣エクスカリバーは秘めていた。


「ここからは俺がトップ・アタッカーを張る。アリエッタは俺に合わせてくれ」

「分かったわ」


 アリエッタが心得たとばかりに大きくうなずく。


「キララは……まぁ、いつもどおりで」

「はーい(=゚ω゚)ノ」


 どんな状況でも、キララに難しいことは言っちゃだめだ。

 余計なことを考えて頭がパンクして、何も考えなければ最強クラスの戦闘力が発揮できなくなってしまう。


 だけど感性と本能で戦うキララだからこそ、その感性と本能の部分で聖剣エクスカリバーの強さを理解してくれているはず。

 だからきっと大丈夫……のはず。


「じゃあ行くぞ! 俺たちの戦いはここからだ!」


 俺は離れた仲間たちにも戦意が伝わるように、聖剣エクスカリバーを天高く突き上げると、ジラント・ドラゴンに向かって駆け出した!


「グルルル……!」


 ジラント・ドラゴンが唸り声を上げる。

 その視線はただただ俺だけを見据えていた。

 怒りと敵意に満ちた視線が、ガッチリと俺を捉える。


 向こうも俺が一番の敵だと認識したようだ。

 いいぜ、真っ向勝負だ。


「神威聖刃! オーラ・ブレード!」


 俺が魔力を込めると、聖剣エクスカリバーがうっすらと光り始め、限界を超えて溢れ出た魔力が、刃から白銀のオーラとなって立ち上り始める。


 神龍精霊ペンドラゴンの膨大な魔力を刃に凝縮する、攻撃力アップの魔法だ。


「なんて魔力量……! ただでさえ膨大な魔力を持った聖剣エクスカリバーが、さらに力を増していくなんて……!」


 アリエッタの驚愕の声を背中に聞きながら、俺は白銀の聖刃をジラント・ドラゴンに叩きつけようとして――、


 バチッ!


 火花が爆ぜるような音がして、聖剣エクスカリバーがジラント・ドラゴンの間近に展開した漆黒の障壁によって阻まれてしまう。


「素の防御力が高い上に、防御障壁の魔法まで使えるのか。しかも展開が速い上に、これまた硬い。防御障壁魔法もSランクってか。さすがはドラゴンだな」


「グルルル……!」


 強大な力を持った聖剣エクスカリバーの一撃を受け止めたからか、ジラント・ドラゴンの唸り声にはどこか優越感のようなものが感じられる。


 だがな!


「神龍精霊ペンドラゴンは精霊でありながら、同時にドラゴンでもあるんだ! 同じドラゴン同士、これで勝ったと思うなよ! おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!」


 俺は聖剣エクスカリバーにさらにさらにと魔力を込めていく。

 それに比例して刃の輝きがどんどんと増していき、漆黒の魔力障壁がギシギシ、ミシミシと軋み始め、すぐに堪えきれなくなってバリンと大きな音を立てて砕け散った!


「グルァ!?」


 まさか自慢の防御障壁が破られるとは思っていなかったのか、ジラント・ドラゴンの瞳が大きく見開かれる。


「隙だらけだぜ! もらった! 聖光解放! ブラスト・エクスカリバー!」


 防御障壁を破壊した勢いそのまま、俺はジラント・ドラゴンに聖なる刃で切りつけた。

 同時に刃に込められた膨大な魔力をその身へと叩き込む!


 聖剣エクスカリバーが光り輝いて、爆ぜた!


 ブラスト・エクスカリバー。

 神威聖刃オーラ・ブレードによって聖剣エクスカリバーに込められた大魔力を、一気に放出して聖光大爆発を起こすSランクの近接破壊魔法だ。


 その威力は絶大で、Sランク魔法最強の破壊力を誇ると言われる炎属性のカラミティ・インフェルノとタメを張るほどだ。


 その強大な近接破壊魔法が、ジラント・ドラゴンにクリティカル・ヒットした!


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