第57話 ユウタvsキララ
「アリエッタ、サンキュー!」
「これくらい当然よ! でもこのままだとマズいわ。しばらく援護するから、その間にキララをなんとかして!」
「了解!」
推しに『なんとかして』と言われたら、なんとかしてみせるのが推し活というもの!
うぉぉぉぉっ!
ここは俺に任せろ!
そこから接近戦でやり合う俺とキララを間に挟んで、ユリーナとアリエッタの激しい射撃戦が始まった。
「フリーズ・アロー!」
「フレイム・アロー!」
「フリーズ・アロー!」
「フレイム・アロー!」
ユリーナとアリエッタが、フリーズ・アローとフレイム・アローを激しく撃ち合う。
どちらも一度に50発近い魔法の矢を生み出し、それを景気よくバンバン連射しまくっている。
かなり激しい撃ち合いだ。
だが感心しているわけにはいかない。
俺はアリエッタの援護射撃がユリーナのフリーズ・アローを全て迎撃することを信じて、キララとの戦いに全力を傾注する。
「キラララッシュ!」
地を這うような低い姿勢で突っ込んで来たキララが、低い重心からパンチにキックに頭突きに肘膝と、雨あられのごとき怒涛のラッシュをしかけてくる。
俺はほとんど全てを受けて流しながら、どうしても防御せざるを得ない攻撃だけはしっかり防御して――防御の上からゴリゴリ防御加護を削りにくるから防御は極力したくない――嵐のようなラッシュをわずかなダメージでやり過ごすと、
「そこだっ! ペンドラゴン・インパクト!」
絶対に反撃を受けない安全なタイミングを狙って、強烈な近接打撃魔法を打ち込んだ!
「わわっ!」
ギリギリでガードしたキララを、ガードしたまま吹き飛ばす。
しかしキララはこの程度では攻撃の手を緩めない。
キララは空中で猫のように柔かく身体をひねり、体操選手のようにシュタッと軽やかに着地すると、再び低い姿勢で前ダッシュ。
しかし今度は一転、
「キララーキーック!!」
恐ろしい程の瞬発力で跳ぶと、勢いそのまま飛び蹴りを放ってきた!
「俺の意識を下に向けさせておいて、上からでかいのを当てる戦法か!」
俺はソシャゲ専門なんであまりやらないんだけど、格ゲーなんかでよく使われる、相手に特定の行動を意識づけさせておいて、その裏をかく戦法だな。
弾丸のように加速しながらのキララの飛び蹴りを、
「ペンドラゴン・インパクト!」
しかし俺は真正面から弾き返した。
「わわっ!? おにーさん、やるー♪」
「こう見えて強いんだ!」
こんな感じで少々のことなら、神騎士LV99のスペックの高さで強引になんとかできてしまう俺は、この世界では掛け値なしに強いと思う。
それでも神龍剣レクイエムを持つ手が、軽くしびれてしまうるほどの衝撃だ。
凶悪な精霊と同化しているとはいえ、威力おかし過ぎだろ。
こんなもん、普通の姫騎士が当たったら間違いなく一撃KOか、下手したら貫通して死ぬぞ?
「キララ、パワーもスピードもどっちも互角の相手と戦うの初めて! すごーい! たーのしー!」
「そりゃ良かったな」
「今まで戦った人はみんなキララが殴ったら、すぐに動けなくなっちゃったのに。おにーさんはほんとすごいよ!」
「そりゃパワー自慢のフラストレに殴られたら、普通の姫騎士はそうなるさ。ま、俺は別だけどな」
「みたいだね! でもキララも負けないもん! 怒りの精霊フラストレよ、我に更なる力を! はぁぁっ! キララン☆レボリューション!」
キララの動きがさらにキレを増し、さらなる怒涛のラッシュをしかけてくる。
「怒りの精霊フラストレとのコンタクトを深めたのか! このっ、まだ速くなるのかよ!?」
俺はキララの猛攻をなんとかしのぎながら、頭の中で現在の状況を分析していた。
序盤の展開は完全に相手ペースになってしまっている。
アリエッタはオールラウンダーだが、どちらかというと前衛タイプだ。
炎属性も近接攻撃魔法が多い。
対してユリーナの氷属性は、遠距離攻撃と防御が得意分野。
本来なら、俺がキララとマッチアップしている間に、アリエッタがユリーナに近づいて相手の連携を分断したいところだが、今はユリーナの火力支援がかなり激しいので、アリエッタは迎撃射撃で応戦するので手いっぱいだろう。
それこそ弾幕スペシャリストのルナでもなければ、ユリーナの射撃の雨を押し返すのは難しい。
学年主席のアリエッタをライバルというだけあって、ユリーナの技量もすごいもんだな。
(2人の射撃力はほぼ互角だ。しかもユリーナは俺とキララを間に挟むことで、アリエッタが直線的に自分に近づけないような位置取りをキープし続けている。これだとアリエッタがユリーナに近づくのはかなり厳しいぞ。だがそれがどうして! だったらまずは俺が1対1でキララを倒すまでのこと!)
既に作戦はある。
俺はアリエッタに、勝負に行くから状況を維持して欲しいとアイコンタクトを送ると、キララ攻略に打って出た!
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