第47話 準決勝(1)開幕
「こっちはいつでもいいぞ」
「じゃあ行くよ! 魔風の
開始早々、ルナがアリエッタに向かって射撃の風魔法による遠距離砲撃を開始した。
ルナが初手にどう来るかはある程度予想していたようで、アリエッタはすぐさま回避行動を取る。
しかし風の精霊の中でも遠距離攻撃に特化した『魔風の
その力を使ったものすごい連射力によって、一瞬にして分厚い弾幕が形成され、アリエッタは回避と迎撃に手いっぱいで、とても攻撃どころではなくなってしまう。
そしてルナが動くと同時に、ルナの相方ミリアも動き出す。
雷属性の魔法を使うミリアは、
「カガヤくん! あなたは私が抑えます! サンダー・マイン! 全力展開!」
俺とアリエッタを分断するように、空中に無数の雷の爆雷を設置した。
その数は100を優に超えている。
200か、下手したら300近くあるんじゃないか。
なんいせよもの凄い物量だ。
「雷系Bランク魔法サンダー・マイン。触れると爆発する設置型の空中爆雷か。それにしても大量にばらまいたな。ルナといいミリアといい、初っ端からいきなり魔力を使い過ぎじゃないか? すぐに魔力切れするぞ?」
手近に設置されたサンダー・マインの一つに神龍剣レクイエムで触れると、剣に込められた『否定』の概念魔法によって、手に触れた粉雪のごとくあっさりと消滅する。
サンダー・マインはBランク。
神龍剣レクイエムでこうして簡単に無効化できる。
が、なにせ設置された数が多いから、消して回るにしてもなかなか手間がかかりそうだな。
「カガヤくんとアリエッタのコンビは出し惜しみをして勝てる相手じゃありませんから。様子見はすっとばして最初から全力勝負は当然です」
「なるほどね。これで俺とアリエッタ分断して、まずは近接高火力のアリエッタを、ルナの遠距離射撃で仕留めようって作戦か。ミリアの役目はそのための時間稼ぎと」
俺はすぐにミリアたちの作戦意図に気付く。
「さすがカガヤくん、正解です」
ミリアは雷属性の姫騎士の中でも、設置やカウンターに特化した変則タイプらしい。
姫騎士ランクはBランクだが、Aランクに手が届きそうなところにいるそうな。
おおむねアリエッタから聞いていた事前情報と、前の試合をスカウティングした通りの行動だな。
「ま、アリエッタの希望通りの展開ではあるし、ちょうどいいと言えばちょうどいいか」
設置型魔法は、触れた魔法を一方的に無効化できる神龍剣レクイエムにとってはカモ中のカモだ。
もちろん何か策を用意してあるんだろうけど、なにせ俺はLV99の神騎士。
何をされても攻略できないことはないだろう。
さっさと倒してアリエッタに加勢をしに行ってもいいんだけど、わざわざルナと1対1をしたいと言ったアリエッタが、不利な組み合わせをどう攻略していくのかには、とても興味があった。
もし万が一(ないとは思うが)アリエッタが負けることがあっても、俺がルナとミリアを両方倒せば俺たちの勝ちだしな。
ここは無理には攻めに行かずに、しばらくミリアの時間稼ぎに付き合うとするか。
変則的な設置タイプとの戦いは、俺にとってもいい経験にもなりそうだし。
ミリアは絶妙な間合いを維持しながら、
「私の鳥籠にカガヤくんを閉じ込めてみせます! サンダー・アロー! プラズマ・キャノン!」
各種の攻撃魔法を放って牽制し、俺がアリエッタの援護に行けないようにと立ち回ってくる。
しかもそれだけでなく、ミリアは牽制の魔法をサンダー・マインに当てることで任意爆破まで狙ってきた。
もちろん数が減ったサンダー・マインを追加でばらまくのも忘れない。
「やるな。自分の攻撃魔法を、設置したサンダー・マインに当てることで、狙って爆発させているのか。破壊力が大きいのがいくつか混じっているから、少し遠目のもケアしないわけにはいかないし、かなり面倒な戦術だな」
「でしょう?」
「正直ちょっと侮ってた。やるな、ミリア」
俺はミリアの評価を大きく上方修正した。
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