第46話 コソコソ作戦会議
俺とアリエッタが、準決勝を戦うべく闘技場(デュエルスタジアム)に上がると、
「あ、来たね、優勝候補さん。でも勝つのはアタシたちだよ?」
先に来て待っていたルナが、相変わらずの小悪魔っぽいキュートな笑顔で迎えてくれる。
これから戦う相手だって言うのに、その魅力的な笑顔に俺は思わずドキリとさせられてしまった。
あ、相変わらず超が付くほど可愛いじゃねーか。
でも俺はアリエッタ推しだから浮気とかはしないからな!
「お手柔らかにな」
「ユウタくんとアリエッタ相手じゃ、お手柔らかには無理かなぁ。むしろ全力バシバシ的な?」
シャドーボクシングでエアパンチを放ってくるルナ。
「ねぇユータ。ルナと1対1でやらせてくれないかな?」
と、アリエッタがコソコソっと耳打ちをしてきた。
「ルナは遠距離戦と回避が得意な風魔法の姫騎士だろ? 近接攻撃メインで、一本調子になりやすい炎属性のアリエッタより、俺のほうが戦いやすいんじゃないか?」
どうやら緊急の作戦会議のようなので、俺も小声で言葉を返す。
何度か模擬戦闘訓練で戦ったことがあるが、ルナの得意戦法はアウトレンジからの射撃戦、いわゆる近距離殺しのスタイルだ。
アリエッタは遠距離でも戦えるオールラウンダーだが、そもそも撃ち合いが得意ではない接近戦向きの炎属性とは、かなり相性が悪いはず。
「ちょっと試してみたいことがあるの」
「そうか分かった。ルナはアリエッタに任せるよ」
「……前から思ってたんだけど、ユータって異常に決断が早いよね」
「アリエッタは俺の中で優先順位が1番だからな。悩む必要がないだけだ」
アリエッタ推しの俺にとっては、アリエッタの意見は言わば唯一絶対神のお言葉。
答えは常にYES。
悩む必要などありはしない。
(もちろん例外はある。たとえアリエッタたってのお願いでも、アリエッタを床で寝かせるような外道は俺にはできないのだ!)
「これもずっと疑問なんだけど、やっぱり前にどこかで会ってたりする?」
「この学園で会ったのが初対面だよ」
「ほんとかなぁ……」
「ほんとほんと」
ちょっとソシャゲ『ゴッド・オブ・ブレイビア』でパートナーヒロインにしていただけだ。
「でも決闘した時、ローゼンベルクの秘伝の奥義カラミティ・インフェルノを、見た瞬間にそうと分かったよね? 知らなかったら、そもそも分かりようがないでしょ?」
「えーその、なんだ……」
「なによ?」
「だからほら……ローゼンベルクは有名な家系だろ? 有名な家系だから、秘伝の奥義も有名だよな?」
「家名は有名だけど、カラミティ・インフェルノを見せる機会はよほどの上位魔獣との戦いの時くらいだから、ほとんど知られていないはずよ?」
そんなもんを対人戦で平然と使ったんかい!
しかもまだ習得中で!
などというツッコミは無粋だ。
なぜならそれは何事にも情熱的なアリエッタという姫騎士のレーゾンデートルでもあるからだ。
あそこでカッとなってカラミティ・インフェルノを撃たなきゃ、アリエッタじゃない。
「でもほら、使う以上は漏れ伝わってくる的なものもあるだろ? 人の口に戸は立てられぬ、って言うし」
「ふぅん?」
「な、なんだよ……?」
なんだなんだ?
どうしたどうした?
さっきからやけに追及が厳しいぞ?
最近は割と仲良くしてたから、俺が何かを疑われているってことはないと思うんだけど。
はっ!?
つまりこういうことか!?
アリエッタが俺に興味を持ち始めて、俺のことをもっと知りたくなってくれたのでは!!??
……ありえなくはないんじゃね?
俺はアリエッタのガチツンモードをソシャゲで知っている。
その後の壊れたようなデレデレっぷりも知っている。
これは明らかにデレデレモードのアリエッタだ!!
……以上、妄想終わり。
出会ってすぐに推しが俺のことを好きになってくれるとか、どんな異次元の世界線だっての。
「ま、お姉さまの精霊幻視――エレメンタル・フォーサイトみたいに、ユータみたいなすごい姫騎士なら、直感的に感じ取れちゃうのかもね」
おおっ、なんかいい感じに推測して納得してくれた。
これは信頼度が高いからこそなせること。
やはりアリエッタは俺に対してデレているのでは?
なんて感じでアリエッタとひそひそ作戦会議をしていると、
「こそこそ話はもう終わった?」
ルナが声をかけてきた。
「悪い、待たせたな。
俺がその名を呼ぶと俺の身体に黄金の鎧が装着され、同時に俺の手に闇を携えたような漆黒の刃を持った大振りな剣――バスターソードが顕現する。
それを皮切りに、
「
アリエッタの身体に猛々しい赤のラインが入った白銀の鎧が装着され、手にレイピアが現れ。
「
ルナの身体に薄緑色の軽鎧が装着され、肘まで覆う濃い緑色の手甲が両手に装着される。
最後にルナのタッグパートパートナーのミリアという姫騎士も、同じように
お互いに戦闘準備は整った。
さぁ始めるとするか!
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