第24話 ついつガン見してしまった、だってノープラっぽいんだもん!
「私もユータも、相手にベッドで寝てもらいたい。お互いに譲れないから困っている訳でしょ?」
「まぁ、うん。そうだな」
「だったら2人で一緒にベッドで寝ればいいのよ。そうしたらどちらの希望も叶うでしょ? うん、我ながらナイスアイデアだわ。さすが私!」
お風呂上りのラフで薄手な格好で自慢げに胸を張ったせいで、豊かな胸をプルプルプリン♪と柔らかアースクェイクさせながら――ついつガン見してしまった、だってノープラっぽいんだもん!――アリエッタが満足げに言ったんだけど。
「いやいやいやいや。待て待て待て待て」
「なによ?」
「なにって、一緒のベッドで寝て、取り返しのつかない間違いとか起こったらマズいだろ」
「ユータは間違いを起こすつもりなの? 俺には監視はいらないとか言ってたくせに! もう、これだから男は!」
「はっ! まさか! 俺がそんなことをするかよ」
俺は推しのために生きる男!
自分の推しに、無理やりエッチなことをするようなハレンチンチンでは断じてない!
「だったら問題ないでしょ?」
「…………そう、なのかな?」
「そうでしょ?」
「……そうかも?」
なんかそこまで言われると、そうかもしれないと思い始めてきた俺だった。
なにせ、推しのアリエッタが、俺のことを想ってこの提案をしてくれているのだ。
推しの真摯な想いをないがしろにすることを、俺の推し活精神が激しく否定していた。
「それに私、知ったんだから」
「またまた何の話をしているんだ? 知ったって何を知ったんだ?」
「妊娠の仕方よ。さっきリューネの誤解を解くために部屋に行った時に、ついでに聞いてみたんだけどね」
「そういや決闘の後に、リューネにでも聞いてくれって言ったような記憶があるな」
腰を抜かしたアリエッタをお姫様抱っこをした時だ。
「単にベッドで一緒に寝るだけだったら、妊娠はしないんだって。裸になってベッドで寝たら、おしべとめしべになって妊娠しちゃうんだって。だから普通にパジャマで寝るだけなら大丈夫みたいなの」
おいリューネ……また絶妙に微妙な説明をしてくれたな??
そのことに脱力してしまったせいもあったのか、
「ふぁ~~~あ」
俺は大きなあくびを漏らしてしまった。
「ほら、ユータも眠そうじゃない。我慢は毒よ? 早く一緒に寝ましょ」
「そこまで言うなら、そうしようかな?」
だって推しがいいって言ってるんだぞ?
あんまり断り続けるのも、悪いよなぁ??
推しの気持ちは尊重しなければ。
「じゃあ私の部屋に行きましょう」
「お、おう」
というわけで。
よもやよもや。
俺はアリエッタと、一つのベッドで眠ることになってしまったのだった。
なってしまったのだった!
なってしまったのだった!!
「お邪魔しまーす」
挨拶をしてから、俺はアリエッタの部屋に足を踏み入れる。
ベッドと勉強机、クローゼット。
魔法関連の難しそうな本がたくさん詰まった本棚。
そして古びたウサギのお人形が1つ。
共有ルームと変わらず、それ以外の私物はほとんどないシンプルな部屋だ。
ベッドはセミダブルより少し幅があるくらいだが、小柄なアリエッタと男子平均やや下の俺なら、なんとか寝れなくはないだろう。
「キョロキョロしないの。恥ずかしいでしょ」
「悪い」
それが失礼だと頭では分かっていても、どうしても好奇心が湧き上がってきてしまうんだ。
だめだ、推しの嫌がることはしてはいけない!
俺は際限なく込み上げてくる好奇心を、必死に押し殺した。
「明日も早いし、さっさと寝ましょ」
アリエッタがポンポンとベッドを軽く叩いてくる。
突っ立っていても仕方がないし、ここまで来ておいて、また最後の抵抗をするのもどうかと思ったので、俺は言われるがままにアリエッタのベッドの中に入った。
ちょうど半分だけ、今日だけ特別に使わせてもらおう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます