第18話

どうにかって、どうするんだろ。


「でもこれって結界張れば解決できるんじゃない?」


町の外まで歩いて移動しながら、テラに疑問をぶつける。


「まぁな。だが結界にも期限がある。それに、ここ最近はゴブリンが凶暴化してきてて、すぐに破られることが多い。だからいつ破られるか分からない結界は基本的に依頼達成の条件にはならない。」


「へぇ。でもそれなら追い払うのでも可っておかしくない?追い払ってもまたいつ来るか分からないんだし。」


「いや、ここいらのゴブリンは警戒心が一段と強い。だから一度危険な目にあったところには戻ってこねぇんだよ。」


「なるほど。詳しいんだね。流石Bランク。」


疑問が一気に解消された。

なるほど、そんな理由があったのね。

ここら辺は前世で来たことなかったから、ここの魔物の地域特性は知らなかった。


聞けば、ここら辺に最近ゴブリンが住み着いているらしく、時々出会い頭に襲ってくるようになったらしい。

へぇ。この辺りの魔物状況についてもっと研究しとこう。


決意を胸に抱いたところで、「着いたぞ」というテラの声が聞こえた。


少し周りを歩いてみる。

街を出た周辺は、森の入り口や道が整備されている部分が広がっている。


どこからゴブリンが出てくるのだろうか。

というか町の周りって範囲広すぎない?


だってここら辺で1番大きい町なんだよ。

こんなの凄く時間かかるに決まっている。

まぁしょうがないか。5ディアだもんね。


それより。


「あの、リラ?」

「何。」

「いや、なんか凄くワクワクしてるように見えるけど…。リラは見てるだけだよ?」

「?」

「戦っちゃだめだよ?」

「……なぜ?」


心外といった風に返事をされた。

こんなに心が動いて見えるリラは初めてだ。

何が君をそうさせるんだい……。


「言ったでしょ。今回は依頼に参加しちゃだめって。」

「……。」


返事はなかったけれど、不服そうに見えた。

やっぱり昨日の説明じゃ分かってなかったか。

今度こそ理解してくれたと思っていいのだろうか。


まぁとりあえず、依頼をどうこなすか考えよう。

どこに隠れているかわからないし、手分けした方がいいよね。


「どうしよう、手分けして探しながら少しずつ倒していく?」

「そんなまどろっこしいことはしねぇ。」

「え?じゃあどうやって……」

「黙って見てろ。」


私の質問を押しのけて、テラは街の方に向かって地面へしゃがみ込んだ。

これから何が起こるのだろうかとドキドキして見守っていれば、町を含んだ周辺地面に大きな魔法陣が浮かび上がる。


結界かと思ったけれど、それは駄目な筈だから違う。じゃあ何だ?


そう思っていると、周りから「ギーッ!!」と叫ぶ声がいくつも聞こえてきた。


驚いて周辺を見渡すと、少し離れたところに思っていたより多くのゴブリンたちがいて、街とは反対方向に逃げて行っていた。


ぽかーんとしていると、もう終わったのかテラがいきなり立ち上がった。


「うし。ギルドに戻るぞ。」


「え⁈ちょ、ちょっと待って⁈今何が起こったの⁈」

「魔法で脅しただけだ。」


「あんな魔法あるの⁈見たことないけど……。」

「魔法陣使ってるの見ただろ。そういうことだ。」

「えぇ……。」


そんなことありえる?絶対あんな魔法無いと思うんだけど……。


色々と聞きたい気持ちを抑える。

もうこれ以上聞くなと目で訴えてくるからだ。


まぁ探す手間も省けたし、いいか。

また私何もしてないけど。


リラはリラでどことなく凄く残念そうな顔をしていた。

もしかしてまだ戦う気でいた?


「はぁ。なんか一気に気が抜けちゃった。何が起こるんだろうって身構えてたからさ。」

「そうか。」

「ありがとう。」

「あぁ。」


初めは無視が多かったけれど、ここ最近は短いなりに返事をしてくれることが多くなったテラに柄にも無く少し嬉しくなった。


さて、あとはギルドに帰ってお金を貰ったら終わり。

そう思いながら3人で町の方へ戻ろうとした時、目の前に3人組が現れた。


「あれぇ、あの時のガキじゃん。」

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