第12話
リラと私がギルド登録をした後、早速3人でパーティを組んで依頼をこなすことになった。
年齢制限は特にされていないらしく、受付嬢にまだ辞めておいた方がいいんじゃ、と心配されただけで登録を止められることはなかった。
依頼の書いてあるボードを眺めながら、テラがどれにするんだと投げかけてくる。
依頼のランクは冒険者のレベルに合わせてG〜SSまである。
基本は自分のレベルに合わせたランクのものしかできないけれど、初めての際はそのパーティーに所属する経験者のレベルの3つ下のランクまで受けられるそう。
テラのレベルはBだというので、今回はG.F.Eの中から依頼を選べる。
ちなみにこの初回のパーティは、最低5つの依頼をこなさなければ解散できない。
逆に言えば、5つこなせば解散も継続も好きにして良いということ。
けれど、もしその経験者が他に本パーティーへ加入している場合は、解散もしくは初心者がその本パーティーへ新規のメンバーとして入るかしか無いそう。
「うーん、簡単なのがいいけど、それだと19ディア稼ぐまでに時間かかるし…。」
「はぁ…。早く決めろ。」
テラは、うんざりといった様子で私の方を見てきた。
うっ…。ごめんってば…。
「というか、テラは絶対手伝ってくれないって思った。」
「指輪の借りがあるからな。これで貸しはなしだ。」
「お小遣いくれてるじゃん。」
「そんなんじゃ返しきれねぇもんなんだよ。わかったら黙って手伝われとけ。」
そんなに大切な指輪なんだ。
私のアドバイス通り、チェーンに通して首から下げているのがふと目に入った。
静かに、けれど確かにここにいると主張しているかのような指輪は、なんだかテラを守っているようにも見えた。
「おい、もう決めたのか?」
ぽけっとしすぎたらしい。
テラが横で静かにキレていた。
怒りを隠そうともせず、腕を組んだ右手の人差し指をトントンと忙しなく動かしている。
「ちょ、ちょっと待ってってば。」
いくら悩んだって仕方ない、そう思って目の前のボードから適当に1枚の依頼書をちぎり取った。
「これにする。」
そうしてその紙をテラに見せれば、彼は怪訝そうな顔をした。
「本当にそれでいいのか。」
どうしてそんな顔をするのだろうと思いながらも、恐る恐る見た依頼書にはこう書かれていた。
『サナ池付近に大量発生したスライム討伐・報酬5ディア※数は100匹以上とみられる※』
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