聞いてほしい!!

てらり

再開

こんなことある…??

突然なんだけどさ数年ぶりに会った元カノが男だった話聞く!?




もう別れよっか。__________


突然の別れだった。

なんで?何かしてしまったか?

いくら振り返っても思い当たることがなかった。

だから正直に聞いた。


「どうして?」


簡単な返事が返ってきた。


「なんかさ…もうお互い冷めてきてるでしょ?」


そんなことない。他に何か理由があるんじゃないか?

だって喧嘩もした事ないし帰りだって毎日のように一緒に帰ってた。それこそ昨日だって…今も他愛のない話をしてたところじゃないか。

そういえばよかったけどこういうところが悪いところ。口から出たのは、


そうかもね__________


いつだっけこれ…

何年前のことかもわからない記憶を掘り起こす。

何故思い出したかというと全ての元凶は目の前_____





今日はサークルの歓迎会で大学近くの居酒屋に来ていた。

歓迎会とはいってもただの飲み会に過ぎない。

簡単な自己紹介をして飲んで食べて帰…れたらよかった。


「あれ?佐々木?佐々木じゃん!!」


突然の声に振り返るとそこには小柄で黒のパンツに白いTシャツを着たラフな格好をした男がいた。

第一印象は今時の男。


「えっと、どちら様ですか?」

会ったことあるっけ?

知り合いにこんなやつはいなかったはず。頭をフル回転させて必死に考える。

あれ?でも佐々木って呼ぶのは確かあいつ…

すると男が口を開いた。


「葵だよ。あ・お・い!覚えてない?」


あ…おい?

あ~やっぱり葵か!え?


「葵!?」


その場にいた人の視線が一斉にこっちに集まる。

つい大きな声をあげてしまった。

葵は元カノだ…


「ちょっ、声デカいから!えっと…とにかくこっち!」


一先ず先ほどまで飲んでいた居酒屋に駆け込む。

席に座ると男…葵が口を開いた。


「久しぶりじゃん!ここら辺の大学なの?」


「そう。すぐそこの…」

いつぶりだろう話すの。別れ話を持ち掛けられてそれ以降人が変わったかのように話さなくなった。

懐かしいな。


「え?同じ大学じゃん!なんで気づかなかったんだろう~」


へ、同じ…?

「ええええええ!?」

今度は店内の視線が一斉にこっちに集まる。また大きな声を出してしまった。視線が痛い。

まさか同じだとは…

いや同じだとしても…


「さすがに見た目変わりすぎてわかるわけないじゃん!!」

その見た目でわかるほうがすごい。


「そお~?佐々木も人のこと言えなくない?」


笑いながら葵が言った。相変わらず太陽のような笑顔は変わらない。

そんな葵の笑顔が大好きだった。

最初は気まずかったが話しているうちに段々と緊張がほぐれた。


「でさ、見た目気になったりしない?」


明るい口調は変わらないままだが、雰囲気が明らかに変わった。

突然話を変えるなんてらしくないななんて思いながら言った。


「まあ気になるかって言われたら気になるかな。」


気にならないって言ったら嘘になるからな。

言いたくないなら大丈夫って言ったけど葵は口を開く。


「…あのさ僕、男になりたいってわけじゃないんだけど、かっこよくなりたかったんだ。高校までは親の目があってさ女の子らしくしろとか言われててさ。えっと、なんていえば良いんだろう上手くまとめられなくてごめん。でもね、今のこれが本当の自分。こんな話してごめん。引いた?」


全然引かない。凄くかっこいいよ。

そのまま言葉にして葵に伝える。


「そっか…ありがと!佐々木ならそう言ってくれる気がしたよ。」


安心したような顔で微笑む。


そのあともほんとに話さなかったのかってぐらい話し込んだ。

だからだろうあの時なんで別れたのか。今だから聞けた。


「ああ、あのときはね_____


まあ一言で言うと「変わるため」だったらしい。

納得した…というか信じてた。葵はなんとなくで行動することはない。


「やっぱり。そんな気がしたよ。」


あの時のように言った_____





「ん、じゃあまた!見かけたら声かけるわ!佐々木も声かけてな~」


夜にも関わらず大きな声で手をぶんぶん振っている葵に一つ聞く。


「今、幸せ?」


葵は暗闇を照らす笑顔と視線を集める程の大声で言った。


「勿論!ちょ~幸せ!!」




元気で安心した。

見た目はあまりにも変わりすぎてわかんなかったけど…

ムカつくけどかっこいい。


幸せか…。

明るい街を背に軽やかな足取りで帰る。


「次、会ったら服とかあげようかな…」

余計なお世話かな…?

でもこのまま捨てるのはもったいないしな…




___その頃の葵は久しぶりに高校のときの友達と連絡を取っていた


なんか佐々木と話したら懐かしくなっちゃって。

電話をかける。直接話したいけどもう遅い時間だ。電話ももしかしたら出ないかも。


「もしもし?葵?久しぶり!珍しいねどうしたの?」


あ。普通にでた。


もしもし?久しぶり!________


(佐々木も誰かわからなくなるくらい変わってたな…でも後ろ姿とか癖とか変わってない。服とかいるかな…余計なお世話?まあ次会ったとき聞いてみるか!)



『_____そういえばさ数年ぶりに会った元カレが女だったはなし聞く!?』





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聞いてほしい!! てらり @tellari_03

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