第7話 【キメラハント】

 謎のスキル、【キメラハント】。

 一体どんなスキルなのか、内容的にはらしい。

 一体何のスキルを? その正体を未だにつかめないまま、アキラは森を散策していた。


「【キメラハント】? キメラって、確か合成獣みたいなことだよね。合体怪獣みたいな」


 大体合っている。

 けれどわからないこともある。

 この場合のキメラとは何を指すのか。それにハントってことは、奪ったことになる。もしかしてスキルを略奪したのは、このスキルの効果?

 それって便利なのかな?

 おまけに如何して奪えたのか。

 条件も分かってない。


「でも倒したから手に入れたって考えるのが普通だよね?」


 アキラの考え方はもっともだった。

 でもでも、どんな形で現れのだろうか。まだわからない。だから不安で、面白いんだ。


 そんなこんなでもう少し、森の中を歩き回っている。

 するとアキラはまたガサガサ音を立てるのを聞きつけた。

 今度は耳を澄ます。

 右手は剣の柄に伸びており、いつでも戦える。


(結局武器使わなかったけど、今度こそ!)


 思い切って抜刀する。

 しかし出てきたのは、


 キュウ!——


「またスライム!」


 またスライムだった。

 まさか二度目なんて。考えたくないけど、被ったらしい。

 いやいいのかな。


 ここはせっかくと言うことで、スキルを使ってみることにした。

 何せスライムから奪った、らしいスキルなので理に適っている。

 いざ、


「スキル発動、【キメラハント】:【半液状化】!」


 ちょっと恥ずかしい。

 顔を赤くしたアキラだったが、その体は急に光に包まれる。

 あたふたする前に、とんでもないことになった。

 アキラの体がスライムみたいになっていた。


「な、なにこれ!?」


 完全にスライム。

 だけど敵対が解けてない。如何やら扱いは同じみたいで、スライムはスライムのような姿になったアキラに、体当たりをした。

 しかし攻撃は当たらない。

 いや当たったんだけど、


 ポヨン!——


 スライムの体が弾んだ。

 アキラに触れて弾かれた。

 まさか半液状化ってこういうこと? ってことだ。


「でもこれって意味ないよね。遅延? 行為だよね」


 だってこれ、意味あるの? ダメージ皆無だよ。

 アキラは悩んでいた。

 このままだと話にならない。やっぱり戻って、ショートソードで倒した方がいい。

 よし、そうしよう。


「じゃあ戻って……ん?」


 嘘みたいなことが起きた。

 まさかスライムが逃げ出した。

 撤退したことに不審がると、急に何かが降ってきた。


 バゥ!


「うわぁ!」


 すんでのところで回避した。

 振り返れば、そこにいたのは巨大なクマだった。


「クマ!? クマってなに。何でこんなところにってここは森の中か!」


 めちゃ当たり前だけど、完全に敵意を向けられていた。

 もし、【半液状化】を解いてたら、死んでいたかもしれない。

 いや、絶対躱せなかった。

 だって掠ったもん。超過ダメージあったもん。

 完全に逃げ腰のアキラだった。


「ここはに逃げないと、ヤバいかな」


 それも仕方ない。

 だって今まさに襲ってこようとしていた。

 アキラは急いで解除すると、その場から思いっきり逃げる……のではなく、ゆっくり後ずさった。


 昔見たテレビの動物バラエティ特番を思い出し、振り絞った知識を武器にして対処した。

 そのおかげかなんとかなった。

 だけど……


「これ、もう戻れないよ」


 まさかの足止め。

 ここまでのとんとん拍子が崩れるも、アキラは、


「ちょっと回り道して帰ろっと」


 ついでにレベル上げ。

 そう言うことで、アキラは楽しく遊んでいた。

 謎は残ったままだけど。

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