僕はあなたのものだから

鍋島小骨

01 餘目

 おれたちは言ってみりゃ盲目めくらなんですよ。でないと取り込まれるから。逆に、ちまって取り込まれた人とかが、おれたちの客だからね。

 坊さんとかもある意味そうよ。

 見えないけど、いることが分かり、それが何か、どのくらいのものか分かる。で、見えないけど、そいつに影響できる。修行とかしてね、手段を手に入れるわけ。お経とか。おれたちは……まあ、人それぞれだね。こっちは伝統も何もない、我流の世界だから。

 え? うん、影響できる程度。できるのはせいぜいそんくらい。こちとら神仏じゃないんでね。寺社仏閣みたいな、それ用に武装したみたいな場所も持ってないしさ。そんなすごく強くはないの。丸腰の人間ですよ、おれたちは。ちょっと能力のバランスが極端だから、見えない相手に工作できる程度のね。

 だからさ。

 あなたの言うような、霊を消すなんてことはね、おれたちはしないですよ。しないしない、できねえもん。有を無にするなんて、大変なことなんだよ。逆のこと考えてみたら分かるでしょう、無から有をつくれるか? そりゃあ神様やらの領分だ。

 やれるのは、どっか別のとこに移動してもらうことくらいだね。



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