真実


 着いた。

 情報は手に入れた。

 獣王の玉座にたどり着く。

 その人物は――

「第一番か」

「獣王、交渉に来た。碑文は全部、此処にある」

 そうして頭を親指で指し示すアン。

 獣王は玉座から一歩足りとも動かず。

 先を顎で促した。

「獣王、あなたの人外獣理が存在しない、そこに人との理を結ぶ。これが俺の示す再解釈だ」

「良いだろう、述べよ」

 アンは唱える。


 生とは一方通行の理である。

 死とは受け入れるべき想いである。

 人と獣に統合を。

 ――お前は何を欲する。

 獣王よ、私は人との絆を欲します。

 人外と真人の狭間。

 改訂、人外獣理第一番。

 《人と育む絆》結審。


 獣王の身体が朽ちていく。しかし、そこに悲哀は無い。

 クエストクリアの文字が天空に表示される。

 風情もへったくれも無い。

 崩れ行く獣王にアンは質問する。

「メメントの事を!」

「奴ならもういない、リュウドウと共に電子の海に消えた。そしてこの世界も生まれ変わる」

 古城の森も光に包まれていく。獣王が最後に一言語った。

「せめて、最後に人狼の勝利を、我々は見たかった」

「獣王!!」

 LOG OUTの文字と共に真っ暗く染まる画面、視界。

 アンは京子に戻る。

 メメントは彼女の幼馴染だった。

 叙事詩を愛し、詩を作る人だった。

 特に好きだったのが。


「人外獣理……行ってしまったんだね、その世界に」


                                    end

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ルーガルーオンライン 亜未田久志 @abky-6102

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