第16話 魔獣少女トップの秘訣

 ラバー素材のミニ浴衣に衣装チャンジし、わたしは魔獣少女へ変身する。


「あんたも、魔獣少女だったのね!」


 臨也イザヤさんに化けたリリスが、後ずさった。


「へん、魔獣少女すら快楽墜ちさせる能力は見事だが、それでも魔獣少女の中では二番手だ」


 わたしの声帯を使い、バロール先輩が語る。


「一番は誰というのかしら?」


 リリスに指摘され、わたしはベッドの上でM字開脚をした。親指で、自分を指差す。


「どうかしら? あなたにそんな色気は見当たらないけど?」

「ふん!」


 刀を鞘に収めたまま、わたしは柄頭でリリスの下腹部を突く。リリスのヘソの下には、淫紋が書かれている。


「あへええええええ!」


 どうやらそこが弱点だったらしく、リリスが悶絶した。


 淫紋が砕け、現実世界に戻ってくる。


「術が解けました!」


 わたしは、現実で目を覚ます。全裸から、魔獣少女へ変身も完了している。


『やっぱりそうか。あのヤロウの本当の能力は、【相手の弱点を見破る】力だ!』


 弱い部分をピンポイントで刺激されたから、あんな簡単に絶頂してしまったのか。


「どうして、あなたに私と同じ能力が!?」


 リリスが、本性を表した。ホストのような整形バリバリの目を持つ、ツチノコだった。


「知れたことよ。オレサマの持つ『邪眼』の能力だからさ」


 わたしに憑依し直して、バロール先輩が誇らしげに語る。


 バロール先輩の邪眼は、『一度戦った相手の技を、盗む』のだ。しかも、『上位互換』で。つまり、より強い能力を手に入れることができるのだ。


「ま、一度使ったら能力は消えるんだがな」


 よって、もう弱点を破る技は使えない。


「おのれ!」


 実体化したリリスが、座り込んでいた臨也に取り憑く。魔獣少女へと変身した。


「それでも、私の有利は変わらないわん。あなたを気持ちよくしてあげただけだと思っていたの?」

「なに? くっ!」


 また、変な気持ちになってくる。お腹の奥で、何かがブウウンと、振動していた。


「私の能力は、持続性なの。そこまでは、わからなかったみたいね?」

「ぬう、あっあっ、ンンン!」


 立っていられなくなるくらい、ヘソの下が熱い。


 バロール先輩も、咳払いでごまかしているが、気持ちよすぎなのが相手にバレている。


『コイツの能力、気持ちよすぎだろ!』

「もうダメえですぅ」


 とうとう、わたしは腰が抜けてしまった。


「人間は痛みには耐えられるんだけど、快感はあっさり受け入れちゃうの。甘いものを食べたり、人をいじめて自分が優位に立ったり。エッチな気分になったりも、ガマンできないの」


 リリスの「前」から、シッポが生えてきた。ビクンビクンと、ヘソを叩く。


 わたしはツバを飲む。あんなの入れられたら、昇天してしまう。受け入れてしまうと、全身が警告を鳴らす。でも、目が離せない。魔獣少女の習性で、バロール先輩が発情しているだけじゃない。自分は、こんなエッチな人間だったのか。


「自分で脱ぎなさい。寝転んで足を持ち上げるの。そしたら……あら?」


 リリスの視線が、わたしの下腹部に移る。


「あなたも、興奮しているのね?」


 刀が変形し、わたしの両足の間に脇差しとして屹立していた。


「そっちの方が、お好みかしら?」

「ダメ。ダメダメ」


 わたしは首を振って、後ずさる。しかし快感で腰がヘコヘコと動いていて、全然下がれない。


 リリスが近づいてくるたびに、感情に負けそうになる。


「いいのよ。わたしが上になっても。そっちでも篭絡できるから」


 突いても突かれても、リリスはこちらを快感墜ちさせるのか。


 離れなくては。でも、したい。好奇心が、押し寄せてくる。


 リリスは軽く手を触れただけで、わたしを押し倒してしまった。わたしの腹に、馬乗りになる。


「さあ、オトナになりましょ」


 わたしの脇差しを、リリスが掴んだ。


 それだけで、舞い上がりそうなくらい達した。しかし、発射はしない。


「ぐ、ぐ」


 情けないくらい、脇差しがリリスの手の中で暴れている。


「ダーメ。私の中に入るまで、出せないから。それには、自分からお願いしないとね」


 リリスは、指先でくすぐりながら脇差しを弄ぶ。


 完全に、負けを認めろというのか。


「ムリヤリ押し込んでもいいけど、それだと無理やり操っちゃうから面白くないの。自分から受け入れてくれないと」

「オレサマが、屈すると思うのか?」


 息も絶え絶えになって、バロール先輩は抵抗を試みる。


「だってもう、限界じゃん。出したくてウズウズしてるよ。カチカチのままだし」


 フーフーと荒い息を漏らしながら、バロール先輩がリリスの手触りに反抗した。触られているだけでも、脳に火花が散っているのに。


「いいなさい。『して』って。ほらほら」


 リリスの手の動きが激しくなる。


 腰が持ち上がって、バロール先輩が墜ちかけた。


「相手の技が持続性なら、こっちだって術の効果が残っているかもです!」

『ナイスだ。そら!』


 わたしのアドバイスを受けて、バロール先輩が親指でリリスの下腹部を押す。


「んほおおおおお!」


 リリスが、大きく背中をのけぞらせた。


『ドンピシャ!』

「今です!」


 わたしは、リリスをベッドから叩き落とす。


「おのれ。あと一歩のところで。こうなったら、ムリヤリにでも操を奪ってくれる!」


 リリスが尻のシッポをムチ代わりに振り下ろさんとしたときだ。


「お前ら、なにやってる!?」


 駆けつけたマナさんが、魔獣少女の背中を蹴り上げた。

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