第17話 ギャルが、魔獣少女になった友人を救う

「大丈夫か、仁絵ヒトエ……うお!?」


 助けに来たマナさんが、臨也イザヤさんの姿をした魔獣少女リリスに後ろから抱きつかれた。


「マナ!」


 わたしなんてそっちのけで、リリスがマナさんに抱きつく。


「うわ、なんだ璃々リリ!? 離せ!」

「どうしてわかってくれないの、マナ! テンションがガン下がりなんですけどお!」


 リリスが腰のシッポを持ち上げる。


「くっ。身体が、動かない」


 マナさんの制服のボタンを、リリスが外し始めた。

 ブルーのブラが、あわらになっていく。

 スカートのジッパーも外れて、青いレースのショーツが覗いた。


 手を出そうにも、人質がいる。身動きが取れない。


「私たち一家がイヴキ様の傘下に入った途端、マナったら冷たくなって。私は百合ゲームにハマっちゃって。最近だとマナ、来栖クルスさんとばっかり遊んでいるし」

「そんなんじゃ」

「昔みたいに、もっとくすぐり合ったりして、くっつきあおうよ」


 腰のシッポを巧みに操り、腹に淫紋まで施す。


「っぐううう!」


 それだけで、マナさんは達してしまった。内股になり、今まで発したことのない高い声で鳴く。


「はあ、はあ」


 力尽きたマナさんが、リリスに体を預ける。


「すっごい。いままでで一番高いリビドー値を叩き出してる。とろけちゃいそう」


 リリスが舌なめずりをする。あれが本来の、リリスの状態か。


「もう、あたしたちは子どもじゃない。あの頃には、戻れないんだ」

「戻れるよお。マナさえその気になってくれたら」


 またリリスが、マナさんの腰に描かれた淫紋を撫で回す。


「んダメェ! んはあ!」


 艶めかしくのけぞって、マナさんがケイレンを起こした。


「ダメだなんて。そんなこという子だったの? ゾクゾクしちゃう」


 リリスとなっても、臨也さんの記憶は残っているらしい。


「なんです、アレ?」

『ポルチオだ! 子宮を直接、撫でられている』


 うええ。内蔵を直に触るとか、ムリなんだが。モツ抜きみたいなもんかな? 

「助けます」


 救い出さないと、マナさんが前シッポの餌食になってしまう。


『いいぞ』


 とはいえ、どうするか……そうだ!


「マナさん、臨也さんのヘソの下を押し込んでください!」

「こ、こうか?」


 腰が落ちたマナさんは、そのまま軽めの肘鉄でリリスの淫紋を小突く。


「おほほおおおお!」


 お腹を押さえながら、リリスは悶絶した。


『今だ、ヒトエ!』

「破邪・一文字切り!」


 抜刀とともに、わたしは衝撃波を起こす。


「んひいいい、ガン萎えするうううう!」


 白目をむきながら、リリスの変身が解ける。臨也さんは、魂が抜けたかのように気絶した。


「リリスは?」

「臨也 璃々との関係性が断絶されて、元の世界に強制連行された」

「はあああああ! つっかれたぁ」


 わたしは、変身を解く。


 危ない相手だった。


「助かりました、マナさん」

「礼を言うのはこっちだ。仁絵」


 まだ、マナさんは立てないみたい。しかし、親友をそのままにできないのか、無理やり立ち上がった。臨也さんをお姫様抱っこして、ベッドへ眠らせる。


「仁絵は、ずっとこんな戦いを続けているのか?」


 マナさんが、乱れた制服を直す。


「うん。ちょっと事情があって」


 バロール先輩の友人の敵討ちなんて、言えるわけがない。それこそ、心配される。先輩の話は伏せた。


「あたしがどうこう言える問題ではないが、危ないことがあったら逃げろよ」

「警察官の娘だから、その辺はわきまえているつもり」


 わたしは、苦笑いを浮かべる。


「ホントにやべえんだな。その表情を見ていたら」


 どうだろう。大したケガはないのだが。ただ、貞操のピンチは毎回あるが。


 臨也さんを寝たままにさせて、家を出る。


 戸締まりどうしようかと思っていたら、マナさんが胸ポケットからカギを出した。


「なるほど合鍵」

「昔はよく出入りしていた仲だったんだけどな」


 マナさんが、ちょっと寂しそうな顔になる。


 そのマナさんの表情が、さっきの痴態を思い起こさせて。


 ダメだ、ダメだ。友だちで妄想しちゃあ。

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