??:??


 とにかく走ってる!


 ちょっと前に、壁に非常口のマークが輝いていて、その下にドアもあるのを見つけた。もちろん、そこから現実世界に直行で戻れるとは思わなかった。

 でも、どうでもよかった。別の場所に行けると考えただけで希望が湧いた。

 だが間違いだった。近づいたら、現れた。エンティティが。きっと罠だったんだ。


 とにかく逃げてる!


 追われている! あいつは叫んでる!


 右、左、全力で直進。視界に入った横道へ、とにかく入る。コーナーで差をつける。


 ジグザグな方向に走る。でも、あいつの声は、少し後ろをずっとついて来ている!


 心臓が爆発しそうだ。足の感覚が変だ。


 しまった! この先は行き止まり⁈


 “ノークリップ”


 こうなったらヤケクソだ! 


 俺は……全力で走ったまま壁に突っ込んだ。


 目の前が真っ暗になり、それから光に包まれた。

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