21:51


 あたりは暗く、狭い。


 俺は小声で撮影を始めた。

「はぁ、はぁ……見た。え、エンティティ。あれは、絶対そうだ。あれが、俺に気づいたかどうか、それは分からない」


 深呼吸して息を整える。


「とにかく、逃げた。それで、この暗くて狭いところを見つけたから、とりあえず隠れてる。今は、足音とか、エンティティの声とかは聞こえない」


「つらい……。もし見つかりでもしたら、逃げれる気がしない」


「もしかしたら、この動画が最後になるかもしれない。俺は、死の恐怖というものが、どんなものかを知ったような気がする」

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