18:14
「なにも無い……出口とか、他のレベルにつながるようなドアだとか、まったく無い」
進んでいるところの突き当りに、なにか落ちているのがみえた。
「待て、あれは、なんだ?」
駆け寄って確かめる。
「瓶コーラ? それと……見たことない機種のケータイも落ちてる。どっちも、ちょっと古そうな感じ」
コーラは、あの独特のくびれのある瓶のやつ。ロゴも入ってけど、日本語の記載はない。それとケータイはスマホじゃないやつ。ボタンがあって、いわゆるガラケーみたいな。ただ、これも日本のケータイとは違う感じだ。
誰か、俺以外にもいるんだろうか? いや、でもこれ、随分古びた感じな。もしかすると、これだけが、ここに落ちてきたのかも。
このコーラ、飲めたりしないか? でも、栓を開けるには栓抜きが必要だ。そんなものは持ってない。
歯でかじりつくか? いや、そんなことしたら絶対に歯が欠ける。
カバンの中をいろいろとあさって、ペンケースに入れてあったコンパクトハサミのことを思い出した。
「これを使えば、栓が外せるかもしれない」
五分ほど格闘すると 栓が取れた。でも、炭酸が抜けている気がする。だいたい、ぬるいコーラは美味しくはないだろうな。あきらかに、消費期限を過ぎているようなコーラは、飲んで大丈夫だろうか?
それから、思い切って一口飲んでみた。
「う、おえぇ!」
吐き出して、瓶は投げ捨てた。壁に当たって転がって、コーラはカーペットの床に染みをつくった。
「ひどい味! とても、飲めない。うぇ、ゲホゲホ」
むせる。今なら、水道水のほうが何倍も美味しく感じるだろう……。
「まあ、いいや……。ケータイもみてみよう」
電源は入らない。持っていても役に立ちそうにはない。
「ダメだ。これもダメだ。使えない」
そこで撮影は止めた。自分のスマホの充電も少しづつ減っていく。まるで自分に残されたHPを見ているような感覚になった。そんなこと、考えたくもない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます