第32話 興味があるのは…

あの話し合いから数日、未だに次の話し合いの日は決まっていない。


「颯杜さん…これからどうなるの?」


「うーん…桐生の事についてはほとんど調べが着いているんだが…ちょっと更にまずいことになっててな。」


「更にまずいこと?」


「あぁ。それで今、狛龍組はバタバタしていてな。」


「じゃあしばらくは何もしてこないの?」


「安心は出来ないんだけど…送迎付きなら学校に行ってもいいぞ」


「本当に!?」


「えー?勉強したくない…」


「勉強しないと留年しちゃうよ?」


「それはやだー…勉強もやだー」


送迎付きなら良いと言うことで私は嬉しかったんだけど、柚杏は勉強嫌いだから文句を言っていた。


「颯杜さん!」


「どうした、綾人」


「今、狛龍組から連絡がありまして。桐生が居なくなったそうです」


「なんだと!?すぐに厳戒態勢を引け!!あいつが来たら捕まえろ」


「分かりました」


綾人さんが慌ただしく入ってくると、事情を聞いた颯杜さんは焦りだした


「颯杜さん?どうしたの?」


「桐生が事務所から居なくなったそうだ。」


「え?」


「ここに来るかもしれない。萌果、柚杏ちゃん連れて部屋に行ってろ。誰が来てもドアを開けるな」


「う、うん。颯杜さん!」


「ん?」


「気をつけてね?」


「あぁ。大丈夫だ、絶対にお前は俺が守る」


そう颯杜さんは私を抱きしめながら言ったあと、綾人さんと一緒に出ていった。


「柚杏、部屋行こう?」


「うん…にしても、羨ましいじゃん」


「え?」


「"お前は俺が守る"なんて言われたすぎるでしょ!!」


「もう、こんな時に!」


「でも、本当に羨ましいよ。愛されてんじゃん」


「まぁね!」


柚杏が茶化してきたけど、私は颯杜さんの"守る"って言葉にいつも安心感を得ているから、ちょっと得意げになっちゃう。


その後、私は柚杏と部屋に戻って颯杜さんの言う通りに大人しくしていた。


「にしても、向こうの組長も何考えてるんだろうね?」


「うん…私なんてただの普通の女子高生なのにね」


「…もしかして、萌果が"颯杜さんの恋人だから"とか?」


「それって颯杜さんへの敵意ってことだよね?」


そんな風に柚杏と色んな憶測をしながら居ると、窓の方から物音がした。


「ん?なんか聞こえなかった?」


「え?」


私が窓に近づいていくと急に窓が割れて誰かが入ってきた


「きゃあああ!」


「みーつけた」


「えっ…き、桐生さん!?」


「さぁ僕と一緒に来るんだ」


「嫌です!柚杏、逃げて!」


「あいつは居なくてもいいけど…萌果ちゃんは来てくれるよね?」


窓から入ってきたのは桐生さんで、身の危険を感じた私が柚杏に逃げるよう言うと、そんな柚杏には興味が無いと言う桐生さんは、私に来るように言う。


私の頭に銃を突きつけて。


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