道可道非常道

KKI菌糸

救済、赦罪

牢獄世界のある場所、燧炎(すいえん)氏族領地

 数を数えない程の世界の中で、地獄らしい光景においでこの牢獄世界に勝る世界など一つもない、だが今の光景では地獄じゃ話にもならないくらいだ。

 足が踏める場所が全て人間の残肢と屍に被っている、もうすでに真紅となった大地は地平線の彼方まで延長している、大地に吸収されなかった血は地上にとどまり合流して無数の川となった。

 だがこの残酷な情景はまだ生きている者たちに何の躊躇も与えなかった。なぜなら希望は、この地獄のような世界から抜け出す希望は既に目の前にあるからだ。

 三万年に一度現れるという遠い地平線にあるとしてもなお絶壁のような扉は、誰か開くことをまている、だが「そこに通れるのはただ一人のみ」と天からすべての人に届くある声は言った、それはこの惨劇の原因だった。

 元々殺し合いの生活を過ごしている、ここから自由になれるのなら、あと何人もう殺せると誰もそう考えった。

 「ガタタタタタタ――」

 まるで雷鳴のような声とともに、扉は殺しあっているものを無視して勝手に開いた、扉の中に放たしたその太陽にも勝る輝きの前に立っているのは子供を抱いた一人の女だ。

 その瞬間、先まで殺しあっている者たちはお互いの争いをやめ、一気に扉の方へ向かっている、殺し合いはもう競走となっている。

 「族長、あの者たちはもうここに向かっています、早くご決断を!」

 自分の傍に立っていつも戦闘準備をしている血まみれていた戦士長の姿を見て、燧炎氏は思はず微笑んだ「自分もまだ捨てるもんじゃないな」と自嘲した。

 「戦士長もここから出たいでしょう、別にここで私を殺しても何の文句もないわ、女同士の同情はいらないわよ。」

 「御冗談をおやめください、戦士となったあの日から私の命は族長に捧げました、だから早くお決めください!」

 燧炎氏は自分の懐の中に睡眠術をかけられて深い眠りに入った息子を見て迷った。

 このままこの世界で育てられ、生き続けるのならば、彼を待つ運命は丸見え、一人の戦士となって、何処かで暴死するという運命がまているに違いない。

 自分はもうそんなことをこの世の理として受け入れたと思たが、しかしそんなことが自分のむすこの身に受けると考えると心が穴が開いているようだ。

 でもこの門の外はほんとに別の世界をまているとしても、この子一人じゃ生きれるのだろうか…

 「族長!」

 最後に戦士長の呼ぶ声が燧炎氏に決心を決めた、外はどうあれきっとここよりましな場所に違ない。

 そうと決めた燧炎氏は自分の指を嚙み破れ、垂れ流した血を使て息子を包んでいる布の上で「重明(ちょうめい)」と書いた、これはじぶんがこの子につけた名前、外に出たらこの名前は親子間の唯一のつながりとなる、その後燧炎氏は涙目で息子を門の中に投げた。

 昇天の門は使命を果たし扉を閉じ、ここで涙まみれの母とその護衛、そして数千万も絶えずここへ走り向かおうとする凡人たちを捨て、勝手に消えた。

 先まで一所懸命に追っていた救済がもう欠片もなく消え去った、まるで自分のこれまでの必死さと殺戮は冗談みたいだ。

 この場にいる全ての人が一緒にこの死体の平原に跪く誰も無言に声もなく泣いた、まるでここが三日間もう訪れていない静寂が一瞬で到着したようだ。

 ただ静寂…

 正に死寂…

 そして話し合ったように、何千万や何億の悲鳴と怒号は一気に放たした、その光景は地獄の閻魔に見させてもその体はきっと鳥肌が立つだろう。

――――――――――

同時に神々がいる世界「九重天(ここのえのあま)」その第九階層

 第九階層が踏める処はただ小さな庭一つしかない,庭を囲まれるのは雲に乗せている数え切れない千人以上の高さを持つ無根の山峰、その山は普通のものとうりふたつだが、実は山体や岩石、水流や魚、木や鳥、草や獣、全ては雲によって変化されたもの、変幻された身だが確かに生命がある。

 雲が動けば山の動く、時にぶつかる山もいる、その時、山とその上に載せている全ての生命は雲に帰り、融合して一つのより大きな山となる、ある時でっかすぎる山も自ら分裂していくつの小さい山となる。

 雲山雲海と上尊帝は自分の作品をこう呼んでいる。

 ここは神の最高位者――太清上尊帝(たいせいじょうそんてい)が住む場所、普通の神では第九階層へつなぐ天の階段に踏みあがることすら許されない、だが例外もある。

 その例外は今既に庭の中心にたどり着いた、神は当然美しいものだが庭の中心に立っている女性の美貌はたとえすべての神の美しさを集めても敵うことはない。

 その女子は庭の中心に跪き、彼女を包んでいるあの山を載せてる雲より白いな白紗で作った長裙の裾が地面に広がりまるで大きな百合の花のように見える。

 姿勢を整えた後、女は両手を重なて挙げた両手が地面に届くまで腰をかがめる。

 「九天玄女(くてんげんじょ)、尊帝への拝見を申し上げます。」

 「ジ――」

 木の扉が開く声、一人の男性が中から歩き出した、その男には何の威圧感も感じない、今地面に跪いている玄女の身さえ気安く近寄らない威厳を出しているというのに、彼にはただ普通の人間しか感じない、しかし彼は確かにこの九重天の至高なる者、神々を導くする方――太清上尊帝。

 「そんな礼儀はいらんと言ったはずだ、立てばよい、君のことだ用事がないならここへ来ない、聞いてみよう。」

 「はい、ただ今、赦罪(しゃざい)の門から一人の赤ん坊が出てきましたとのことです。」

 玄女は指示通りに立った後、要件を報告した、もちろん彼女が口にした赤ん坊は燧炎氏族長の息子「重明」。

 「赤ん坊ですか…」

 上尊帝は聞いてる口をしているが、その答えを求めでいない、今のはただ考えに伴った付属品だけ。

 「はい、尊帝の命を従い、今回もその処置かたを聞きに参りました、やはり今までと同じく下界へ追放するのでしょうか?」

 「いえ、この赤ん坊は下界に追放することはいけません、彼は将来、神に大きなる役目を果たします、九重天で育てなければなりません、そして玄女よ、この件は君自らの手でやってほしい。」

 「わたしでございますか?」

 「安心したまえ、母親を演じさせるではなく、ただ彼を神々の一員に育てばいい、あと彼に神技を教えなさい。」

 「あの子に『道』の神髄を教えるのですか?」

 流石に今まで上尊帝の指示に二言はない玄女も疑問を出した、今の九重天では「道」を使える神はただ庭に立っているこの二人のみ、そんな神技を外来者どころかあの赦罪の門の中に出てきた赤ん坊に教えるとは、彼女には理解できなかった。

 「そうです、彼にその役目を果たすには、『道』の力は不可欠、これは九重天の運命に関する、理解しましたか。」

 「は!もし分けありません、ではすぐ手配いたします、失礼します。」

 玄女の階段を下りる姿を見て、上尊帝は少しため息をした。

 「ようやく来たのか、三千万年は流石に神にとっても少し長いな。」

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