第132話 焦土の渦ダンジョン制覇
馬車を騎士団の詰所に止め、ガンギを突き出す。事情を説明し、逮捕してもらった。
ガンギは大ごとになっていく状況にパニックになっている。
怒りが収まらないシズカは騎士団の詰所で騒いでいた。
しばらくすると連絡が行ったファイアール公爵家筆頭執事のベルク・ファイアードが騎士団の詰所まで到着した。加害者側の筆頭執事でもあり、被害者の父親でもあるベルクは適任だと思い、僕たちは帰宅する。
あとは勝手にしてもらえば良いと思ったからだ。
ガンギに狙われたのが僕だったため静かな怒りを溜めていたミカだったが宥めておく。
帰宅後すぐにヴィア主任が謝ってきた。
「私がシズカくんのダンジョンの誘いを受けてしまったせいだろうな、すまなかった」
「気にしないでください、ヴィア主任。どうせどこかでこんな事が起こると思っていましたから」
「そうは言ってもなぁ」
珍しくミカが発言する。
「アキくんが気にするなっていったら気にする必要はないですよ。以前から弟くんは爆発しそうでしたから」
リーザさんにもガンギの件は報告した。狙われたのが僕だったから。
冒険者ギルドとしてもファイアール公爵家に抗議するようだ。
【9月12日】
焦土の渦ダンジョンの制覇を目指す事にした。
ヴィア主任もサイドさんも相当動けるようになっている。
ボスサラマンダーは蒼炎を使わずに討伐する予定である。
僕とミカとヴィア主任は接近戦を挑む。サイドさんは遠距離からサポートしてもらう感じだ。
気がつくとサイドさんの身体能力が凄いことになっている。同じパーティの仲間として考えても良いような……。
焦土の渦ダンジョンの入り口に来た。
今日はボス戦の予定のためヴィア主任もサイドさんも緊張している。
それではダンジョンアタック開始だ!
1〜3階層は特に変わらない。いつもはヴィア主任とサイドさんに任せているけど、今日はミカも戦闘している。僕は後ろで警戒中。
特に問題無く4階層に降り立った。
以前来た時と同じく4階層のサラマンダーは一回りくらい大きくなっている。危なげない3人の戦闘に安心した。
5階層のサラマンダーの炎は色がより赤くなっているタイプだ。やっぱり【昇龍の剣】は無敵だ。一家に一本って感じ。
最終階層の6階層のサラマンダーの大きさは1.5メトルくらいになっている。螺旋状の炎の魔法も通常のサラマンダーの倍くらいの大きさになる。
丁寧に炎の魔法を防ぐサイドさん。華麗に避けるミカとヴィア主任。このパーティで肉体派なのは女性だな。
6階層の奥にボス部屋の扉がある。ここのボスモンスターは3メトルほどの皇帝サラマンダーだ。
僕が真ん中で右側をミカ、左側をヴィア主任。後ろでサイドさんがサポートだ。
皆んなの心の準備を確認し、ボス部屋の扉を開ける。
ボス部屋の扉を開けると熱気が凄い。中に入ると40メトル先に体長3メトルほどの皇帝サラマンダーがいた。以前と同じ皮膚は漆黒。纏っている炎は真紅で燃え盛っている。
皇帝サラマンダーの炎の魔法に気をつけて近づいて行く。
残り10メトルくらいで身体を起こし、炎の魔法を使ってきた。【昇龍の盾】で防御する。熱気が盾を少し超えてやってきた。問題ないレベルだな。これならいける。そう思った瞬間、皇帝サラマンダーの前足が2本とも無くなっている。ミカとヴィア主任の仕業だ。
あ、このままだと何もできないと思い突撃する。皇帝サラマンダーが倒される前に何とか頭に一撃喰らわす事ができてホッとした。
こういうのをタコ殴りって言うんだろうな。
後ろを確認すると何も出来なかったサイドさんが佇んでいた。
皇帝サラマンダーはBランク魔石に変わり、宝箱が出てきた。
4人で宝箱の前に整列した。
「「「「パンパカパーン!!それではメインイベントです!!拍手!!」」」」
そして皆んなで拍手する。
見事に揃った声、何度も練習してきた甲斐があった。
僕は感激した。これが正しい冒険者だ!
今回は宝箱のドキドキを感じてもらう為、ヴィア主任に開封を譲った。
ヴィア主任の指が宝箱にかかる。
蓋が開いた。
出てきた武器を見て、僕とミカはビックリする。真紅の細剣とダンジョン制覇メダルだった。
僕とミカは焦土の渦ダンジョンを何回も制覇している。今回の細剣は見たことが無かった。
細身で先端の鋭く尖った刺突用の剣。
レイピアである。
この武器を見てヴィア主任が喜んだ。レイピアが1番使い慣れているそうだ。
これ以上強くなられるとどうしよう。
今回宝箱を開けたのがヴィア主任だった。開ける人によって宝箱の中身は変わるのかな?
取り敢えずはこのメンバーでCランクダンジョンを制覇した。
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