第29話 モンスタードロップ

 5階層のボス、オークジェネラル戦が終わった所で、レベルが1上がった。


 レベルが18になって、運がようやく1上がった。1上がった事で、なにか運気が上昇するとは思えないんですけど、まぁ、気のもんです。


 STR(物理攻撃力)が51で、DEX(きようさ)が70と結構上がった。あとはDEF(物理防御力)とAGI(すばやさ)をもう少し上げたいなと思う。


 ガリオンさんの相手を翻弄させる野性的でスピーディーな戦い方や、アリシアのパルクールのような繊細な身のこなしを見てると、ほんとかっこいいと思ってしまう。


 僕は、色んな意味でまだまだだ。自分なりの戦うスタイルが定まっていないと言う事もある。一番は、やっぱり経験不足だって事なんだろう。


 ************************************


 <ステータス>

 名前 : 新田 蓮(あらた れん)

 性別 : 男

 年齢 : 18歳

 レベル : 18


 HP : 128

 MP : 56


 STR : 51

  INT : 41

 DEF : 22

 RES : 46

 DEX : 70

 AGI : 45

 LUK : 52


 □魔法:


 なし


 □スキル:

 <異世界サバイバルセット>Lv4

 ・言語理解 ・簡易鑑定→ ・石投げ→

 ・飲み水整水 ・回復(小) ・浄化

 ・アイテム収納(小) ・着火

 ・周辺MAP制作(範囲小)→ ・気配察知


 <シンクロナイゼーション>→

  [同期] ・ [解除]


 ************************************



 固有の魔物からのドロップは、ダンジョン固有のドロップアイテムとは違う。そして、オークジェネラルのドロップは、通常は魔石だが、レアドロップがオーク肉で、超レアがオーク肉の霜降りなのだ。


 オーク肉をダンジョンで一度食べた事があって、豚でもイノシシでもない、臭みも無く、どちらかと言えば神戸牛に勝るとも劣らない味だった。ちなみに最高級神戸牛を食べた事はないけどね。


 この階層ボスを倒した後、下層へ行く階段の踊り場で野営をする予定である。そこで、オーク肉のバーベキューをするからと、準備万端で待っているから頑張って来いと、背中を思いっきり押された。


 オッサンは、絶対に、レアか超レアが出るまで戦えと無茶ぶりしてきたのだが、これは、はっきり言って僕もほしい。


 そこで、ちょっと気合を入れて戦ってみた。


 オッサンとアリシアは、ボス部屋を出た先でのんびりしてる。で、僕はと言うとガリオンさんに後ろから指示されながら、一人必死で戦っているのだ。


 ガリオンさんは、礼儀正しく、言葉使いも丁寧だ。だけど、戦闘となれば豹変してしまうようで、かなりのスパルタだ。狼人だけど。。。


 戦う事6回目、なんと霜降り肉がドロップしたのだ。


「うぉぉぉぉぉぉーーー!」


 ドロップしたとたん、思わず、叫んでしまった。


 ふふふ、100円ショップで購入したバーベキュー串もちゃんと持って来てるのだ。その上、ワサビだわさび。村の水辺でわさびモドキを発見していたのだ。肉には醤油にわさびでしょう(自己基準)。


 ボス部屋から出た僕は、森で取って来てた野菜やきのこ、肉を串にさして焼き、オッサンは豪快にステーキがいいと言う事で、厚めに切った肉を塩こしょうで下味を付けて焼いた。ジュージューと焼けるいい匂いが鼻腔をくすぐる。


 口に入れたとたん、ジューシーな肉汁が口いっぱいに広がり、口の中でとろける。最高級の霜降り肉じゃないか!ちなみに最高級松坂牛も食った事ないけどね。


 堪能させてもらい、お腹いっぱいになったところで、アリシアが入れてくれたハーブ茶を飲むと、口に残った脂肪のベタベタ感がすっきりした。


 霜降りは、脂肪分が多いので、あまり量が食べられないから、次は赤身でお願いしますと、さっきまで戦っていたオークさんに、心の中で合掌した。


                ◇◆◆◇◆◆◇


 アリシアの結界のお陰で、見張りを付ける必要もなく、全員はゆっくりと休む事ができた。


 6階層から10階層までは、トラップ階層だ。ここで、貴重なアイテムが獲得できる宝箱とかが罠の先に置かれているので、ガリオンさんの、罠解除スキルが最大力で発揮される階層だ。


 なので、僕は少しは楽出来るかと、思っていた時もありました。



 石が引き詰められている床は、乗っかってはいけない石があり、それを避けながら進まないといけないトラップ回廊。その突き当りに宝箱が置いてある。それを取りに行くのはもちろん僕です。だって、<シンクロ>で正しい石が光って見えるのです。だけど、ふらついたりして失敗し、間違って踏んだりしたら、毒矢が飛んでくる仕掛け付きです。


 岩があちこちに飛び出ている壁。その石を間違わずに掴まないと落下する。崖の上には宝箱。もちろん僕が行きます。


 隠し部屋のカギはガリオンさんが開けてくれます。石や木の組み合わせでパズルになっています。大きな寄木細工のからくり箱のようです。それを、迷うことなくサクッと開けてしまうガリオンさん。もちろん部屋の中に入るのは僕です。



 また、一定時間で炎や毒が吹き出すボス部屋。避けながらの戦いを強いられるわけです。10階層ボスはファイアサラマンダーで、炎も毒も耐性ありの巨大な火蜥蜴が炎を纏った状態で、容赦なく突撃してきます。それを避けながらの戦闘で、蜥蜴が動く度に炎が降り注いでくるので、とても熱いのです。



 落ちていた石ころを数個拾って、火蜥蜴に投げつけると、痛みで頭を大きく振りながらの天井に向かって咆哮する。その長い首に向かって飛刃剣を投げつけて、首を切断。毎回、この手に騙される火蜥蜴さんです。


 ファイアサラマンダーのモンスタードロップは、通常が魔石。レアが炎の魔法書。超レアは炎魔石。炎魔石は、かなりの額で売れるらしいので、がんばれ~と軽く言われたのですが、、、


 なんか、すごーく理不尽なように思うのですが、気のせいでしょうか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る