TRPGマスターのオカルト体験記
黄昏 暦
TRPGマスターのオカルト体験記
第1章 とあるTRPGサークルの日常
第1話 TRPGセッション 『魔鏡連鎖』
【
ここは
そしてこの部屋は、いくつか存在するサークル棟のそのまた一角
数あるサークルルームの1つである。
現在、我々
『プレアデス』がココを使わせてもらっている。
さて、僕の前には手元を隠す厚紙製の
長身茶髪の爽やかで、人当たりの良いイケメンでありながら、
なぜかTRPGなんてマイナーな物に興味を持って付き合ってくれる。
しかし付き合ってくれるのは非常にありがたい、
他のメンバーも集めてくれた恩人である。
ゲームのキャラクター名は【
西洋系の退魔師キャラでリーダー役をやっている。
黒縁メガネ短髪の偉丈夫だ。生真面目な性格の好青年である。
彼が仏教学科の教授に頼んでもらったおかげでウチは正式なサークル登録がされて、この部屋を確保できた恩人である
キャラクター名は【りょう】 仏教系 僧侶キャラである。
長い黒髪のおっとりした優し気な和風美人さんだ。
栄養状態の良くない僕に気を遣ってくれて、なにかと差し入れてくれる恩人である。
キャラクター名は【
大学のサークルルームに高校生が居る事に誰も異論が出ないから
多分大丈夫なんだろう。
彼女は、ゲーム以外ではコミュ症気味の僕にピッタリのアルバイトを
紹介してくれた恩人である。
キャラクター名は【アリス】 西洋系 シスターキャラである。
そして僕は
オカルトTRPG『フェノメナ・カーニバル』の
TRPGが何か?
何人か集まって遊ぶアナログゲームだ。
(
時には歓声や奇声を上げながら物語を作っていくゲーム。
GM、プレイヤー双方に臨機応変な
こうして遊ぶ様子を様々な楽器による合奏になぞらえて【セッション】なんて呼ばれている。
TRPGについて詳しく? それを話しだすとTRPGの歴史やテレビゲームに元の名前を奪われたという悲しい過去についても語らなければならなくなる。
(昔はこちらがロールプレイングゲームだったらしい)
まあ、GMと何人かのプレイヤーが会話したり、各種
ストーリーを作っていく遊びだと思ってくれれば概ね間違い無い。
剣と魔法のファンタジーから宇宙を旅するスペースファンタジー、スパイアクションや学園バトル等様々なジャンルのTRPGが存在する。
そして、僕が今、GMをしている『フェノメナ・カーニバル』は現代オカルトTRPGであり、プレイヤーは退魔師の1人となってオカルトな事件を解決していくというストーリーだ。
今日は
6回目のセッションで、第3章の導入部から始めていく。
【TRPGセッション】
《オリジナルシナリオ 『
『前回のセッションでは奥軽井沢の別荘で起きた集団自殺。
これが実は人為的に仕掛けられた呪殺用の結界が原因であり
新月を起動キーにして発動する様に設定されていた事が判明した。
その呪殺の元凶になった事件が、青森県の新郷村で10年前に起きた
『ある事件』に関係がある事までが判明した訳だけど。
そこでシスター【アリス】はその話に気になる点がでてくる。』
僕は
【オカルト知識】×2で成功」
【アリス】「えっと、私のオカルト知識は35だから、35×2=70%。
パーセンテージダイス振るね、赤が10の位」
【アリス】は赤と青の透き通った20面体サイコロを振る。
赤が14で青が5の目がでた。
45か、成功だな。
GM「45知識ロール成功。青森県の新郷村と聞いて、新郷村の一部が過去に
伝わっている事を思い出した」
【アリス】「えっと、マスター。さすがにこんなバカな話をキャラクターが
思いつくっていうのはどうかと思うけど?
オカルト知識で難易度イージーって、
すごく一般的な知識って事よね?」
GM「え? アリス知らない? コレって源義経が生き残って
モンゴルでジンギスカンになりました的な感じで、
オカルトのとんでも話の中でも か・な・り有名な話だよ」
【アリス】「え? これ、マスターの創作じゃないの?」
GM「違う違う、こんな有名な話は流石にイージーだよ。
キリストの墓までの巡礼の道だとか、
巨石のピラミッドとか環状列石付近で奇跡を起こしたとか。
青森県は恐山もあるし、いわゆるオカルトの知る人ぞ知るメッカだよ」
【アリス】「オカルトの知る人ぞ知るメッカって何? 有名なの? 無名なの?」
【加賀】「しかし、青森か500km以上あるよな。
装備品もあるし車で移動だな。りょう、車出して」
【りょう】「行くのはいいが、加賀、どうやっても今日は到着しないぞ。
今夜、どこかに泊まって、移動は明日にしたらどうだ?
明日の拠点になるホテルも先に予約しておこう」
【姫】「そうよ、サービスエリアで車中泊なんて、現実だったら絶対イヤよ。
ちゃんとシングルで4つ部屋取ってね」
【加賀】「ええ、姫。どうせ山の中の探索だったらテントなんだから
車中泊くらいいいじゃん」
【姫】「加賀に、そういうの許していると。現実に出かけた先でも同じ事を
されそうだからゲーム内でも厳しくいくわよ」
【加賀】「しょうがないな。マスター、この近くで今夜の泊まるホテルを探す、
シングル4つで。
あと青森県の新郷村近くでビジネスホテルでもいいから、ホテル、
シングル4つ、とりあえず明日から3日程予約する」
GM「ああ、この近くのホテルは確保できた。あと新郷村近くのホテルだけど、
新郷村の付近にはホテルも宿も無いんだ。
だから西に30km程の所にある十和田湖畔の観光ホテルか、
東に30km程の所にある八戸市内のビジネスホテルになるな」
【加賀】「よし、無駄に金を使いたく無いから八戸市内のホテルを予約だ」
【姫】「え~、観光ホテル」【アリス】「ブーブー」
【加賀】「うるさい、節約だ。マスターそれで行く」
【りょう】「マスター、やけに具体的な距離と地名が出てくるけど・・・
まさかと思うが実際に調べてないか?」
GM「最近は簡単に調べられるから、当然調べるよ。遺跡や史跡はもちろん、
役所や図書館の場所を調べるのはシナリオ作りの基本だよ」
GM「了解、ビジネスホテルの予約は取れた。東横イン八戸駅前だ。
【りょう】、実質700km程、車で移動するから
難易度イージーで2回【自動車運転】ロールして」
【りょう】「分かった、【自動車運転】は40だから、イージーで80%以下だな」
【りょう】は、黒と白の20面体を振った。
【りょう】「黒が10(の位)」
ダイスは黒が1で白が8か
18だな。
【りょう】「18、ロール成功だな、じゃあもう一回」
【りょう】が、もう一回振る
【りょう】「もう一回、黒が10」
黒が19で白が11・・・91か
GM「91、ロール失敗だ。高速道路で落下物を踏んでしまいタイヤが裂けている。
落ち着いて路肩に停止して発煙筒を焚いてJAFを呼んで、
落下物の報告だな#9910道路緊急ダイヤルだ」
【加賀】「マスター、そんな所にリアルいらない」
【りょう】「怪奇現象より道路の落下物の方がダメージデカイぞ」
【姫】「私達、無事に青森に着けるのかな?」
【アリス】「大丈夫、きっとこの情報はリアルでも役に立つよ」
【加賀】「マスター、この車にスペアタイヤって積んで無いの?」
GM「ごめんね、リアルな話、最近の車はパンク修理剤だけで
スペアタイヤは積んで無いよ」
【加賀】「マスター、そんな所にもリアルはいらない」
GM「まあ、1時間程でJAFが来てくれたね、そのまま車を牽引で高速を降りて
近くの修理屋さんにゴーだ」
===================================
GM「そうして、君たちは東横イン八戸駅前に無事到着した」
【りょう】「いや無事じゃ無いでしょ。マスター、
なんでこんなにアクシデントが出るの?」
【加賀】「りょう、お前が修理した後の【自動車運転】ロールで
00なんて出すからだろうが」
【姫】「まあ、乗ってた車のアクシデントじゃなくて高速道路の通行止めで
一般道に降りなきゃならないなんて、よくある事でしょう」
【アリス】「そうそう、冷凍輸送車の事故で冷凍カツオが高速道路に散乱して
通行止めなんて、きっと良くあることだよ」
GM「まあ、時間が遅くなったからね。でもビジネスホテルで良かったね。
観光ホテルならチェックイン出来なくて、
別の宿を探す羽目になってたはずだから」
【加賀】「マスター、リアルが厳しすぎる」
GM「ははは、それで深夜になってホテルに入れた訳だけど。
明日の予定はどうするかな?
八戸で10年前の新郷村の事件について調べるか、
それとも事件のあった新郷村に行ってみるか、
情報は制限されるけど、後は2手に別れて行動する事も出来るよ」
【加賀】「マスター、情報が制限されるって何?」
GM「2手に別れるから、八戸の図書館や役所の調査メンバーと
新郷村に行くメンバー、その目で見た物、耳で聞いた音が違うからね。
調べた情報は後で共有するにしても、何気なく見た物とか
会った人については片方のグループしか分からないから」
【りょう】「そこまでするの?」
GM「いや、単に新郷村に行ったメンバーが八戸の図書館や役所で
見かけた人について知ってるのはおかしいから
話の辻褄が合わなくなるから気をつけるだけだよ。
あと2グループ別々に話を進めるから、
片方のグループが暇に感じない様に気をつけるとかかな?」
【加賀】「そうなのか? 新郷村のキリストの墓伝説が絡むのなら、
シスターのスキル【オカルト知識】が必要じゃないか?」
【りょう】「ちょっと待て、加賀。加賀もアリスも
【図書館】スキル持って無いよな?」
【加賀】「ああ、俺もアリスも持ってないからメンバーを分けるとしたら
新郷村だな」
【りょう】「まあ、系統は違うが、新郷村には加賀(西洋系退魔師)
とアリス(西洋系シスター)、
八戸は私(仏教系僧侶)と姫(神道系巫女)で分けるか」
【姫】「じゃあ、それで行きましょう」
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