5日目 木曜日
今日は七瀬さんが熱が出てしまったから家でお留守番するそうだ。
朝早く起きていてよかった。
僕が七瀬さんのお昼用のおかゆを作ったりしていたから、もうちょっと遅く起きていたら学校に遅刻していただろう。
学校に行く前に七瀬さんは辛いはずなのに、行ってらっしゃいと言ってくれた。
今日は早く帰って七瀬さんの看病をしてあげないと。
今日は配信はお休みだな。
でも、急に熱が出るなんてまるで七瀬さんが狙われてるみたいだ。
もしかすると西田が影響しているのかな。
明日は僕も休んで七瀬さんと一緒に過ごそう。心配だし。倒れたらやだし。
それから学校に登校すると西田が話しかけてきた。
「おいおい朝から嫌なものを見てしまったぜ。」
こっちの台詞だ!僕も朝からお前を見るなんて嫌だよ。
「そういえば、今日は珍しく七瀬は居ないんだな。いつもいるのに。お前は何か知らないか?あいつのこと好きなんだろ?」
お前のせいじゃないのか。他人に責任を押し付けようとするな。
「僕は知らないよ。それより早く教室に行かせてくれないかな。」早くこいつから逃れたい。
「ちぇ、何も知らねぇんならいいよ。」
そう言って、西田は僕から離れていった。朝から不快な思いをしたな。今日が憂鬱になってきたよ。
今日の授業も終わり、帰り支度をしているとまたも西田が話してかけてきた。
「どうしたの?」西田に会ってしまった不快さとイライラを隠しながら聞いた。
「お前、確か七瀬と家が近いとか少し前に言ってたよな。お大事にって伝えてくれよ。」自分で伝えればいいじゃないかと思いながら、七瀬さんに渡しておいてほしいものを受け取った。
今日渡して要らないようだったら捨てよう。
帰宅すると、まだ七瀬さんは寝ていた。僕の作ったおかゆは食べてくれたみたいで安心した。
こうしてみるといつも無表情であまり接してくれない七瀬さんが、優しく、そしてわずかに熱で赤い顔がかわいく見えてくる。
いつか七瀬さんが心から笑って、幸せな生活を送れる日が来ることを願って、七瀬さんの近くのソファで横になった。
明日も早起きしておかゆを作ろう。
***
今日は久しぶりに熱が出た。いつも健康には気を使ってるから、自分の責任じゃない気がする。
もしかすると西田くんが昨日見てきたからかな。
今日は私が朝食の当番なのに熱で辛いだろうかいいよって、斉藤くんが代わりに作ってくれた。自分のご飯だけじゃなくて私用のおかゆも作ってくれた。美味しかったよ。
私は今日、一日中寝ていたみたいで、気がついたら真夜中になっていた。
近くにあったソファには斉藤くんが寝ていて、風邪を引きそうだったから私の部屋から毛布を持ってきて掛けてあげた。
はじめて斉藤くんの寝顔を見るけど、すごくかわいい顔してる。
今気づいたけど、私の寝顔も見られた?すごく恥ずかしい。すっぴんだったからあまり見られたくなかったのに。
でも斉藤くんならいいかな。何でだろう。ここ数日、私の思考は彼に持っていかれる。これってホントに何?
早く寝て忘れよう。心臓の音が床越しに聞こえてしまわないように。
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