ひーくんは今日も気づかない
@uzinomiyarelfy
ep.1 ひーくんは今日も気づかない
「あ!会長だ!」
「今日もカッコイイね!」
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「成瀬会長!さよーならっす!!」
「会長今日もカッコよかったよなー!!」
「仁聖(ひとみ)くーん!ばいばーい!」
「生徒会頑張ってねー!」
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「会長の噂聞いたー?」
「知ってる!他校に超絶美女の彼女がいるんだって!」
「え?俺は生徒会メンバーみんな食っちゃったって聞いたけど!」
「こないだ誰も居ない教室で副会長と2人で居るところ私見ちゃったよ!」
「俺のユカリンが会長とよく一緒にいるってマジ?!」
「え、会長は風紀委員長じゃないの?」
「いやいや、成瀬くんと言えば幼馴染の子でしょ?」
「いーよなーみんな学園筆頭の美女達だもんなー」
「俺も美女軍団に混ざりてー!!!」
「お前には無理だってw」
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「まあ会長じゃ相手にされないし、好きになっても無駄だよね!」
「分かるー!観賞用っていうか…」
「みんなの生徒会長だよねー」
「1回で良いから私も抱かれたーい」
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今日もすれ違った皆が男女問わず、俺の噂話や武勇伝とやらを語っている…
ーーー生徒会室
ガラガラッ
「…会長、遅刻です。」
「ご、ごめんごめん。」
今無表情で話しかけてきたのは、生徒会副会長の雪城(ゆきしろ) 光兎(みつ)
才色兼備、何でも出来る彼女は学園で高嶺の花として皆から注目を浴びている。
そして、よく呼び出しを受けているらしいが、無表情でフッた男は数知れず…
で、裏では"氷の美女"と密かに呼ばれている。
本人は気付いてなさそうだが…
皆が噂する通り、彼女の笑った顔を見たことがないし、サラサラのショートヘアは端正な顔がハッキリ分かって確かに目を引く…
「もう、今日から書記の黒木さんが1ヶ月お休みになるので早めに来てくださいね、とあれ程言ったのに。しっかりしてくださる?成瀬さん。」
「あ、ああ…」
今お嬢様口調で話したのは、生徒会会計の西園寺(さいおんじ) 優花梨(ゆかり)
この由緒ある土御門(つちみかど)学園の理事長の一人娘で、エスカレーター式のこの学園は高等部から入ってくる一般の学生も多いがほとんどが幼等部から通ってる何処ぞの会社や病院のご子息ばかりで、もちろん西園寺も口調だけじゃなく、完璧なお嬢様だ。
見た目は中学生くらいだが、紛れもなく俺とタメの16歳、高校2年生。
アイドルみたいな見た目をしている為"合法ロリ美少女"と謳われ、学園内外にも熱狂的なファンが多く、通学は屋敷の運転手の送迎で、ボディーガードもいるとかなんとか…
「へー、仁聖くんでも遅刻するんだね!珍しい所見ちゃった★」
この少し弄り(いじり)気味の話し方をしてくるのは、風紀委員長の桐生(きりゅう) 愛未(あみ)
彼女も皆が騒いでるうちの1人で、学業と両立してモデルとしても活躍している彼女は、女子なのにスラッと伸びた長い足と…
「…ヒトミくん?私のネクタイ、歪んでる?」
「い、いや!」
…ゴホンッ!
む、胸の大きさで、"風紀乱す系風紀委員長"としていつも皆の目を引く存在だ。
彼女自身は自分の色気を分かってなさそうだが…
「ひーくん、遅れたって、何で遅れたの?まさか女の子?」
「いや、サッカー部の奴らに予算について呼び止められて…」
「えー?!私運動部委員長なのに、何で私に言わないの?!そんなに頼られてない?!」
この1人で騒いでるのは、日向(ひなた) 夏葵(なつき)
俺の幼馴染で、この学園に高等部から一緒に入学した。
俺の祖父が彼女の祖父と仲が良く、幼い頃から彼女の祖父が営む蕎麦屋にたまに食事しに行くのが日課だ。
人懐っこくて誰とでも仲が良いので、男女問わず人気がある。
幼馴染なのでそんな目で見たことは無いが、どうやら彼女も"学園の向日葵(ひまわり)"として皆の言う美女軍団とやらの一員らしい。
「ねーひーくん聞いてるの?!」
そして、俺のことを兄のように慕(した)ってくれている…と思っていたのだが…
「ねぇ貴方、運動部の方よね、ここは生徒会室よ?場違いじゃないかしら?」
「は?!そんな事言ったらこの"おっぱい"だって無関係なんじゃない?!」
「えー、酷いよ日向ちん。。ねぇ、雪城さん?」
「…今書記の方の仕事しているので、五月蝿(うるさ)くしないで欲しいです。」
全く。こいつら集まるといつも何かと口喧嘩ばっかり…
「まあ、皆ちょっと落ち着いて…」
「会長も五月蝿いです。」「成瀬さんは黙ってらして?」「仁聖くんはちょっと静かにしててねー?」「ひーくんは黙ってて!!!」
ーーーバチバチバチーーーーー
………。
俺がこいつらの事食った?よく一緒にいる?
はあ、みんな在らぬ妄想で盛り上がっているところ悪いが…
…生まれてこの方色恋沙汰どころか付き合ったことすらないし…
それに、見て分かるだろうが…
俺は噂の"学園の美女"たちにかなり嫌われている!!!!!!
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