やまない雪と皆の様子

仲仁へび(旧:離久)

第1話



 雪がやまない。


 ずっとふって、ずっとつもっていく。


 人の背丈よりもうんと、雪がつもっていく。


 乗り物よりもうんと、雪がつもっていく。


 家の屋根よりもうんと、雪がつもっていく。


 町中にうんと、雪がつもっていく。


 あまりに雪がつもりすぎたから、そこは冷凍庫の中みたい。


 みんなこごえて、ぶるぶるぶる。


 外に出なくなってしまった。


 会社に行けない。


 学校に行けない。


 庭のポチは家の中。


 庭の洗濯ものも家の中。


「出たくても、出られない」


 みんな外に出たいのに。


 みんな外に用事があるのに。


 雪がふりつづけるから、困ってしまう。


「やまないなぁ」


 いつやむのか分からない。


「やんでくれないかなぁ」


 どうやったらやんでくれるのか分からない。


 雪だるま作り放題。


 かまくら作り放題。


 雪像も作り放題。


 はじめのうちは喜んでいたけど、たくさんふりつもると困ってしまう。


 田舎もふって、都会もふる。


 特に都会の被害は深刻。


 雪に慣れていないから、たくさんの事故が起こってしまう。


「雪はいつまで」


「教えてだれか」


 天気は気まぐれ、予想が難しい。


 推測するのは困難で。


 いつか、いつかと待つしかできない。


「てるてる坊主でも作ってみちゃう?」


「それは雨のやつじゃなかったっけ」


 ご機嫌とりをするしかなくて。


 ああだこうだと話し合うしかない。


 おそなえものしたり。


 お願いごとしたり。


 神頼みしてみたり。


 自分ではないなにかに頼るしかない。


 雪はもうこりごりだ。


 そう思って、悩んで、困り続けるとようやく晴れる。


 そんな一年の中のとある日の出来事。


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やまない雪と皆の様子 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

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