第25話 魔剣士が決着をつけたら

 「……どういう、事だよ」


 俺はさっき見た光景に困惑を隠せないでいた。


 ……?


 (──いや)


 考えるのは後だ。今はこの怪我がどれほどのものなのかを把握し、どれほど俺が動けるのかを知る必要がある。


 「……これは、結構まずいかもな」


 そして体を動かして確認してみると、臓器の一部に折れた骨が突き刺さっていることが分かった。動けば痛みが全身に迸り、体の動作を鈍くさせてしまう。


 (……油断していた……?いや、していなかったはずだ。と言うことは──)


 《どうした?さっきまでの威勢は一体どこに行ったのだろうなぁ、ん?》


 「……」


 俺に一泡吹かせることができたと思っているのか、ここぞとばかりに俺を煽ってくる。神のくせに余裕がなさそうだ。


 いや、神ではないか。


 だって、俺がにまだ気づいていないのだから。


 「……はぁ」


 《ふん、一丁前にため息なぞ……ようやく今自分か置かれている状況を理解したか。あまりにも遅いな。愚鈍だ》


 「そういうお前はそんな状況すらも理解できていないようで、俺は安心したよ。さっきのため息がどんな感じだったのか、聞こえなかったのか?さっきのため息は安堵のため息だ。お前が馬鹿でよかったって言うな」


 《……やはり貴様には楽な死に方はさせない方が良さそうだ。苦しみと絶望の果てで朽ち果てるがいい》


 「やってみろ──もう遅いがな」


 《何を言って──っ!?》


 そこでやつはようやくその仕込んでいた罠に気づいた。


 だがその時にはすでにその罠が発動していたのだが。


 奴の背中に仕込んだ一筋の斬撃。それは奴自身に対し痛覚を与えることなく、ただの、本来ならばなんの意味もないものだ。


 その技の用途も、どうやら斬首刑で用いるような物らしいしな。


 痛覚を与えずに斬る技──無音。技と言ってもただ刀を振るうだけなのだが。しかし、その振るう際と言う、精密な技なのだ。


 故に一度も成功したことのない技で、練習中の技でもあった。


 それをぶっつけ本番で放った。結果は奴の今の表情を見ればわかるだろう。


 《きっ……貴様っ……!いつの間に……!》


 「俺がお前の首を斬ろうとした時、その前に予め仕込んでいたんだよ。お前はそう言うところ結構無頓着みたいだったから、簡単だったぜ」


 《クソがっ……!う、動けない……!》


 人間で言う関節部分を斬ったからな。そりゃあ、動けないだろ。


 「それじゃあ、これで終わりだな」


 《や、やめろ……!貴様、このままダンジョンが崩れてもいいのか……!?》


 「それはお前を殺した後で考える」


 《と、止まれ……!こっちに来るなぁアアア!》


 俺は歩きながら、刀に魔力を込める。すると刀は限界を迎えているのか、ギチギチと音を立て始めた。だがそれでも俺は流すのを止めなかった。


 俺は一つの確信があった。


 この刀は、こんな物じゃないと。


 まだまだ先に行ける、と。


 「行くぞ。これが俺の中での、一つの完成系だ」


 《ま、まだ死にたく──》







 「──きらめき



 




 刀を横薙ぎに振るう。


 瞬間、幾千もの光の線が振るった先から出現し、奴の体に向けて放たれた。


 それはまるで間近に流星群が突如現れたかと錯覚するほどのもので、眩い星々が目標に向けてただ真っ直ぐに突き進んでいるかのような、そんな光景だった。


 

 《ア……アガ……》



 それからしばらくして幾つもあった光が収まると、そこには全身をボロボロにして、最初に見たような神々しさが消え失せ、ただのボロ雑巾のような姿になった自称神が

そこにはいた。


 《く……そ……が……ま、だ……》


 「死ね」


 《あ──》


 そしてそんな満身創痍となっていた奴の首を俺は容赦なく刎ねたのだった。


─────────────────────────────────────


 全然更新できなくてすみません……。


 続きを書こうとした瞬間に中間が始まるし、終わったと思ったら課題山積みだし……別に言い訳ではありませんよ……?多分。


 そして今後もまた更新できないと言う状況が続くと思いますので、ご了承ください。

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