海賊魔王

鷹山トシキ

第1話

 俺は明智海賊団の一味だ。略奪の成功を祝い、宴を開いて盛大に酒盛りをした。港町横須賀。

 伊藤首相が死んで面白かったな。コロナと雨のせいでどこにも出かける気がしない。人間は誰しも非日常を求める。旅行が駄目な今、人の死が旅行みたいなもんだ。

 

 横須賀一帯はヴァイキングの活躍の場となっていた。

 悪名高きヴァイキング王、明智右衛門は横浜の王を殺害し、王妃の映美を我が物とした。その後王位を継いだのは、野望に燃える俺で、映美は右衛門の子を生んだものの、どぶ板通りのバーテン、小野田に手放すようにさとされ、別れる際、その子の首に、横浜王家に伝わる剣の宝石を外してかけておいた。


 歳月が流れ、右衛門と映美の子、勝太郎は、運命のいたずらで父の奴隷となっていたが、本人はそのことを知らなかった。一方右衛門の子、京馬は、眼科をしていた勝太郎と争いになり、目薬のせいで片眼を失う。罰せられようとしていた勝太郎の首の宝石から、横浜王家の後継者であることを見抜いた推理小説作家の蔵前健之介は、巫女と2人で彼を助け、勝太郎は、京馬に囚われていた久里浜の王女、香美と横浜に脱出する。


 明智右衛門が後を追うが、船は難破し、勝太郎に助けられたところを横浜の兵士に捕らえられ、右衛門は死罪となり首を横浜港に投げ込まれる。一方勝太郎は、香美との結婚を望むが、俺は勝太郎の左手を切り落とし、国に帰ることを決意した。国に戻った俺は、スナイパーと手を組んで、横浜に攻め入る。京馬は、香美が勝太郎に心を寄せていること、 そしてその香美から、自分と勝太郎が異母兄弟であることをきかされて、勝太郎と激しく争うが、一瞬の気の緩みから、弟の刃に倒れる。

 それからしばらくのち、京馬の弔いの船に火が放たれるのを、勝太郎と香美が見守っていた。


 ダイイングメッセージ『ガッツ石松』栃木県を表す。

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海賊魔王 鷹山トシキ @1982

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