おち○ちんが失踪したが、新作VRMMOのオープン初日なのでゲームします。

オーク_猫

第1話 プロローグ



 夏休みまであと僅かといった七月の今日、待ちに待ったAGO(アルカディアゲートオンライン)のサービス開始日だ。


 βテスターには残念ながらなれなかったものの、製品版は高倍率ながらも入手に成功した。


 フルダイブのVRゲームが一般的になってきた昨今、VRMMOの新作ゲームが発売されるからといって抽選になることはそうはない。


 AGOが抽選に、それも高倍率にまでなったのはβテスト参加者たちが絶賛したせいだ。


 中には有名配信者も何人かいたようで、配信テストついでに許可されていたため一気にAGOの知名度が、注目度が上がっていった。


 俺がAGOを知ったのはたまたまPVを見たのがきっかけだったが、これまでの自由なようで決められた動きモーションサポートの範囲でしか戦えなかった操作キャラ感満載。などといったものではない自由すぎる戦闘。


 現実かのように止まりのゲーム的ご都合仕様から脱却した、もはやもう一つの世界を作り上げたと言ってもいいフルオープンワールド。ボスすら無視してどこにでも行ける移動制限のない自由な移動可能範囲。


 それに惹かれてテスターに応募したのだが、残念ながら落選。

 その後βテスターたちの体験談を調べていったら、どうにもPVだけでは語れない魅力があったようだ。


 これまでのゲームも五感を再現をしようとされていたが、現実と比較するとどうしても違和感が残るものだった。

 けれどAGOではそれらがより鮮明になり、現実と変わらない再現度となって解消されたと言われている。

 解消どころか雑多なファンタジーの空気を味わうと、整然とした現代の空気には物足りなさを感じる人が多かったようだ。


 それ以外にも特定の素材や食材以外にも各々個別に味や匂い、効能や特性が作り込まれていたりする。

 それによりゲーム内では無価値扱い、別の用途でしか使われていなかった物も使い方によっては新たな物を作り上げれたりと、アイディア次第で世界に革新をもたらすことも。


 さらに自分達で開拓し新たな町を作ることも、世界を股にかけた大商会を作ることも、NPCと結婚し子供を作ること……は年齢制限が付けられてるけれども出来る。


 まだまだ語り尽くせない魅力があるがとにかく、最初から興味を惹かれていた俺は、それらの話を見聞きする度にますますAGOに惹かれ、プレイできる日を待ち望んでいた。


 そして今日! 遂にAGOの開始日!!



 ……………………なんだけど、俺のおちんちんが失踪しました。



 今日この時までに何か原因があったか思い返してみようか、あいつちんちんがいなくなる理由がわかるかもしれん。


 今朝、起きて早々トイレに…行ったな。

 うん、その時はまだちんちんはあった。というか目覚めたときは元気いっぱいだったな。


 それでそのあとは夏休み前の平日の金曜日なので当然学校へ向かった。


 が、そういえば今日は創立記念日だったなー。いやー、うっかりうっかり。(棒)

 ということで学校が休みではしかたない、と自宅に帰るも両親は既に出社後。


 おおっ! そういえば今日はAGOのサービス開始日ではないかー!!(驚愕)

 こうしちゃおれんっ! スタダのために寝溜めするぞっ!!



 と、サービス開始時刻の正午ちょうどの十二時前まで二度寝して過ごしたワケだ。

 鳴り響くアラームを止め、目が覚めたら何やらお股に元気がない。どころか喪失感。


 なんじゃらほい、とパンツをペラると十六年連れ添った相棒が玉ごと失踪していた。


 ダメだ寝てる間に出ていったことしかわからんな、いったい何が原因なのだろうか?

 十六年の間一人遊び以外に使用することなく、新古品として過ごす日々に嫌気が差したのか?


 う~ん…わからん! そんなことより時間は……十一時五十二分…と。


 って、あと八分しかねぇ!? 急いで飯とトイレっ!!


……………………

………………

…………

……


 うっぷ……へっ、ヘッドセット…っと、てか時間っ?! 時計は……あと三十秒で開始っ! よし勝ったっ!!


 さーて、ヘッドセットそうちゃーくっ! ベッドダーイブっ!!


 いざっゲームスタートっ!! 


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