第1話

朝、起きてから思う。

今日も1日が始まってしまったのだと。

私を偽る1日が……。


「おはよう、香奈かな

「おはよ」

母からの声かけに少しぶっきらぼうに答えてしまい後悔したが、今更謝れない。これでも難しい年頃なのだ。

すると、早速母のお節介が発動する。

「あ、そうそう!昨日、駅前に美味しいアイス屋さんが出来たんですって!帰りにお友達と行ってみたら?」

アイスか……食べたいな。

「あー、うん。みんなに聞いてみる」

微笑んでる母を横目に心の中で「みんなって誰だよ」とこぼす。

私は、いわゆるぼっちというわけではない。教室移動だってする人間は居るし、体育のペアでも余ったことはない。けれど、放課後も一緒に遊ぶような友達はいない。あくまでうわべだけの、ぼっちを回避するために一緒にいる友達ばかり。それは別に私の友達に問題があるのではない。むしろ、良い子ばかりでクラスでも明るいメンバーだ。

じゃあ、なぜ私はちゃんとした友達になれないのか。理由は明確だ。私がココロを隠して生きているから。そうすれば「あの時」のように傷ついたりはしないから。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る