第41話「ソシャゲの男女キャラ比」
「あのー……このギルドって七割以上の方が女の方ですよね?」
ピシリ……ギルド内の空気が凍った。発言の主はメアリー。何も考えず発言したのだろうが、それはネトゲで言ってはいけないことだ。
「メアリー……あのな……」
「何か重大な理由が……?」
「その方が皆にウケがいいからだ」
「はい?」
俺はネット初心者のメアリーに説いて含む。アバターからは分からないが、メアリーは実は超低年齢なのではないだろうか? ある程度の年齢になればそこに疑問は持たないぞ。
「男キャラがたくさんいるむさいゲームより美少女が一杯いた方が見た目的に映えるだろう?」
「え!? え!? まさかそんな理由で男女比が決まっているんですか!? でも現実の男女比は約一対一なのにそんなバランスになるわけが……」
「メアリー、設定ウインドウを開いてボイス画面を開いてみろ」
「あ、はい」
メアリーのアバターの前にウインドウが開かれる。ポンポンと子ウインドウが開き『その画面』を開いたようだ。
「ボイス設定? フォルマウント値? ピッチ? これは一体……?」
「これを変えることで自由な声に変更することが出来る。『例えばこんな風に』」
「ギルマスが美少女声に!?」
「『こんな事も出来るわよ』」
「マクスウェルさんがイケオジ声に!?」
「とまあこんな感じでいくらでも現実の自分を誤魔化すことが出来るわけだな。アバターが変更自由なのは知っての通りだ」
「そこまでして美少女にこだわる意味とは一体……」
「ちょっとムカつくことをされても美少女が可愛い声で謝ったらPK沙汰になる事は少ないんだ」
ソースはなんとか書房調べ。
「はぇぇ……闇が深いんですね……」
「というかメアリーちゃん生声で話してたの? いや、そのくらいで特定はされないけど念のためノイズフィルタくらいは設定しておいた方が良いわよ? ノイズから自宅を特定するって今じゃ結構メジャーな方法だしね」
「そんなことが出来るんですか!?」
「例えばアドトラックや選挙カーの声がマイクにのるとそこから逆算しておおよその位置は特定出来るわよ。気をつけて奥にこしたことはないわね。マイク設定ウインドウを公開設定にしてくれる? 私たちがセキュアにしてあげるわよ」
「は、はい」
そう言って開かれたウインドウには全部の設定がデフォルトでセットされていた。これではマイクから個人の特定をされかねないので危険だ。音声が処理される閾値や多少音声にノイズを故意に混ぜて特定を防ぐ方法などを設定して、メアリーはなんとか特定の憂き目に遭うことは回避出来たのだった。
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