あの人ともう一度
岩井あんず
第1話
一体どこで狂ってしまったのだろうか。
あの日、違う選択をしていれば変わっていたのだろうか。こんな馬鹿みたいに社会にしがみつく事しか出来ない俺が、周りに必要とされない俺が、愛されることさえ拒んでしまった俺が、
はたして変われるのだろか、、、
もし、、、もしも変われるのならば、あの頃へ戻れたらやり直したい自分の間違った選択を、
馬鹿だとはわかっているが君とまた会えたらどれほど幸せかと考えながらシーストーンに願いを込めた、それを机に置きベットへ向かう、窓から入ってきた月の光が照らすそれはまるで…宝石のように光るのだ。
そして俺は眠りにつく、きっと今日は夢であの頃が見れるだろう。
そして眠りについて30分くらいたった頃目が覚めてしまった、随分と短い眠りだった、
「夢を見ることさえ叶わないか…」
願いなんて柄でもないことしなきゃ良かった、
もう一度眠りにつこうとするとある事に気づいた、朝だ30分しか寝ていないのに朝になっていた、何か変だと思った俺は周りを見渡す、そこにあったのは懐かしき頃に毎日見た自分の部屋だった。ツーと涙が頬を撫でるように落ちる。
「あぁ…」掠れたような声がでた。
なんだ見れたじゃないか夢、叶えば見れるなんてラッキーだな、でも所詮は夢深く入り込まないようにしなければ、起きた時に悲しまないでいいように。
「大丈夫、どうせすぐに夢は終わる」
そう言って俺は立ち上がりリビングへ向かう、
そこには俺が会社に入ったばかりの頃に病死した母さんがいた。また涙が出そうになった、なんせ会社に入ったばかりで親孝行はこれからってときに死んでしまったのだから出来なかった後悔がある、ただただ申し訳なかった、女1人で俺を育ててくれた母さんにありがとうの気持ちをちゃんと伝え親孝行をするのが夢の1つでもあった、結局叶わぬじまいだった
こんな息子でごめん母さんと目をうるうるさせてしまっていた俺に母さんが「どうしたの?笑笑」と話しかけてくる、懐かしい母の笑顔嬉しかった、「ううんなんでもないよ」「そう?ならよかった!早く制服に着替えなさいね!」と言うと台所へ向かう、一体いつ夢から覚めるんだろうと考えながら頷き部屋に戻り着替え始める、時間になり学校へ向かう、久しぶりの学校にワクワクしていた。
学校へ着き教室へ向かった、たまに知った顔が通りすがる、懐かしい古い記憶が次に次にと蘇る、嬉しくて、楽しくて、ついニヤニヤしていたら誰かが話しかけてきた「よぉ、おはよう!お前なにニヤニヤしてんだ?」誰かと思ったがすぐにわかった松山幸、俺の親友だった幸は社会人になったあとでもよくあうくらい仲が良かった、大人の姿を知っているせいか違和感があるな、「別に、なんもないよ」と言うと幸がジーっと顔を覗き見つめてくる「なんだよ?」と聞くと「いや、中々見た事ないからさお前がニヤニヤしてるなんて!」見納めしないとなどと言っている幸を無視し教室へ入る、俺の席は窓側の3列目だ、よく授業中に空を眺めていたのを覚えている、この席俺のは思い出の場所だった、俺の初めてがいっぱい詰まっている、君と初めて会った場所、初めて君と話した場所、人生初めて君に恋した場所、君とした初めてのキス最初で最後だった、全て今でも鮮明に覚えている、2人っきりの教室で夕焼けに照らされ2人の影が重なる、ぎこちない君からのキスで心の中の余裕があったはずのコップから好きが溢れだしてゆく、嬉しくて涙が出てしまっていた、自分で止める手段もなく困っていた俺を君は優しく抱きしめてくれた、
忘れようとしてもふとした瞬間に思い出してしまう、忘れたくても忘れられぬ思い出、それはきっと自分だけなんだろう。思い出に浸っていると誰かが肩を触る、幸だと思った俺は手を振り払い顔を合わせる、そこに立っていたのは幸ではなく彼だった、驚いた俺は勢いよく立ち上がる「ち、違うんだ間違えた!幸かと…」それを聞いた君は笑い出す「ふっははは!」びっくりしていた俺を見て言う「いや、お前松山に対して扱いが酷いな笑笑」はら払われた手が以外に痛かったようだ、「ご、ごめん」そこまで強くしていと思ったが手加減ができていなかったみたいだ、彼が頭を撫でてくる「大丈夫だよ、謝らなくて」優しい顔をして言う、この時にはもう付き合っていた、彼と会えたことに喜びを感じていたら思い出したかのように辛くなった、この世界は夢、すぐに終わる夢だと、深く入り込まないようにしなければいけなかったのに辛くなりたくなかったのに、あぁ
泣きそうだ、こんなに苦しいなら夢なんか願わなければよかった、早く覚めてくれ、俺がこれ以上彼と離れたく無くなる前に、早く、、、
「どうした、泣きそうだぞ」と彼が言う、心配そうに見る君、ダメだとわかっているでも、「…好き」涙目になりながら震えた声で小さく言う、すると彼にいきなり腕を引っ張られ教室を出た、「ちょっ!もうすぐ先生来るって!」
彼は焦ったような声で「知らない、お前が悪い」と言い足をとめない、着いた先は屋上だった、暑くない寒くもないちょうどいい温度だった「な、なぁもう戻ろう先生が来る」と心配をしている俺を彼が壁に押し付ける、「イッ」痛いの言葉も言う暇もなく彼がキスをしてくる、
初めての時とは違う力強いキスだった、こんな強引な君さえも好きだと感じてしまう、
重なった唇を離しぎゅっと抱きしめてくる、
「ごめん、こんな強引に」と謝ってくる、
「ううん大丈夫」俺も抱きしめ返す、
彼の体温が、匂いが、心臓の音が、俺を離さないんだ、俺は一生君に囚われるのだろう。
俺の後悔、学生時代彼に好きだと言葉として言えなかった事、いきなりキスしようとする彼に驚き突き飛ばしてしまった事、名前を呼べなかったこと、きちんと好きと伝えたかったのに、キスだって嫌じゃなかったのに、彼はあれ以来キスをしてこなくなってしまった、だから、たとえ夢でも伝えたい好きだって伝えなきゃいけない起きた時に後悔しないためにも、「界」
彼の名前を呼ぶ、さっきまで抱きついていた彼がびっくりし体を離す「え、今名前、」驚いている彼に言う「界、好きだよ、大好き!」涙目になっていた目をつぶり笑顔で伝えた、涙で目の前がボヤけ彼の顔がちゃんと見えなかったけど彼が震えた声で言ってくれた「うん、俺も好きだよ」、コツンと頭の上に何かが落ちてきた、シーストーンだったきらりと光ったを見て俺は気を失った。目が覚めるとそこはいつもの部屋夢から覚めたみたいだった、机の上のシーストーンはまっぷたつに割れていて月の光に照らされていた時の宝石のような輝きはもうなかった、夢から覚めても辛くはない、プルルルル
電話がなる「もしも、界?うん大丈夫今から家出るよ」、(気おつけて来るんだよ)電話越しに聞こえてくる声は優しく、暖かかった
あの人ともう一度 岩井あんず @Azusa8242
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