第4話 ギドラのその後

彼は店を出ると少し歩いて路地裏に入ると都市の中心にある城の方を向いて呟く。

封命解放ふうめいかいほう、召喚バフォメット」

彼がそう呟くと彼の付けている腕輪から赤黒い魔力が飛び出し徐々にその姿を形成するそうして出来たその姿は山羊の頭に腕が四本もある人の体、蝙蝠の羽に尻尾が蛇、それに猫の足を持った怪物だった。そしてその怪物バフォメットが口を開く。

「主よ、私を呼び出したのはどのようなご用件で?計画の第一段階、城を襲撃して国家元首たる影帝を殺害、腕輪に収納し私たちの後輩を作る材料にする。その計画に支障が?」

「忌々しいことに今、城には炎龍がいるみたいでな、計画を開始したとしても失敗し炎龍・影帝・銀狼の三人に追われることになる。なのでこの都市からお前の影転移シャドウワープで逃げるぞ、今は隠れて様子をうかがう。」

「了解しました。準備します、影よ我が呼びかけに応えその姿を変質し彼の地へと我らが身を運べ“影転移シャドウワープ”」

バフォメットがそう唱えると足元の影に彼らの身体が沈み、次の瞬間には門の外にある木の影から姿を表す。そして前の影は変質していたのが元の影の性質に戻り消失した。

「よし、これで都市からは脱出出来た。後は人間や亜人を滅ぼすためにその礎となる混沌の合成邪獣神カオスキマイラを作る素体を集めるだけだ。出来る限り質のいい生物を生きている状態で、別に死んでいても問題はないが怨嗟が強ければ強いほどその魂と肉がいい糧となるからな。世間で強いと呼ばれている奴ほど負けて捕まった後にこの体を見たら強く神を恨みいい糧に成り下がってくれる。それに元となる素材が強ければ更に強くなる、だからこそ影帝は自分で殺して存分に恨んでもらい素材に変えた後は利用しつくすつもりだったのに運が悪いことに炎龍がいたせいで計画が見送りだ。核となる作品№32ラースキマイラの体の一部とそいつの心臓部たる魔石この二つが揃った。だが今作ったところでまた勇者と魔王が人間や亜人そして魔族をまとめ上げ数で壊すだけだそんなものは面白くも何ともない」

「「「私達からすれば君がなぜ人間達を滅ぼす気でいるのか理解に苦しむがね。」」」

都市から逃げた後そう文句を言ったギドラに別の木の影からいくつもの声が答えた。そしてその木の影から出てきたのは嘲笑うような仮面を付け黒色のフードを被った一体の人形だった。

人形パペット仮面ペルソナそして我が友、幽霊ゴースト現身うつしみ君達はなぜ私の邪魔をする、なぜ邪魔出来る、仮面ペルソナ人形パペット君達二人それとまともに話すら出来ないソードシールドお前ら四人は問題ない、だが幽霊ゴースト、君は誰かと契約しないと君の能力である魂への干渉は使えないはず―――誰と契約した。」

人形パペットそして仮面ペルソナこれは僕の責任だ。君達は少しの間黙ってて。」

「「了解」」

「さてと、かつては友だったしても今は敵だから契約者の事は喋らないよ。それと君の名前がメフィストであるように僕にもアリシアって名前がある。幽霊ゴーストじゃなくてそっちの名前で呼んでくれない?」

フードに憑依ひょういしている、幽霊ゴーストと呼ばれた少女は憑依を解除し青白い魔力で出来た体で自分の呼び方について文句を言った

「それは分かった。だが油断したな、逃げる準備が出来たので逃げさせてもらう。“転移テレポート”」

ギドラを名乗りメフィストと呼ばれた何者かはそれを了承し次の瞬間詠唱なしで魔法を発動し逃走した。

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