問題しか無い転生

黒崎影斗

第0話 消えた友からの郵便、そして転生

香衣理かいり、今日の朝、家のポストに消えたあいつらから手紙入りの郵便が入ってたが、そっちの家にも入っていたか?」

龍兎りゅうと、私達三人にその郵便が届いているみたいよ」

 肩まで届く黒髪に剣道着を着た身長175㎝前後の細身の男が空き教室の中にいた少し長い茶髪に白衣を着た身長160㎝前後の女に質問し、香衣理と呼ばれた女がそれに答えた

「おいおい、あのわけわかんない不幸体質の海斗かいとにも届いてるのかよ。あいつ確か引きこもりになってなかったか?」

「誰が引きこもりだよ。学校には来てるよ。学校に着く頃には傷だらけですぐ保健室に送られてるだけで」

 龍兎りゅうとと呼ばれた男がその答えに少し文句を言う、その文句を前髪が目に掛かるほど長い黒みがかった茶髪に制服を着た身長165㎝ほどのおそらく海斗かいとと呼ばれた男が訂正する。

「この後せっかく郵便まで貰ったし手紙に書いてあった場所に行かない?」

「それは了解。すまんが、後でいいか?部活の前に来たからそろそろ部活が始まるから時間が無い、行って来る。」

「スマホで、聞きたいことがあるから部活が終わるまで待ってほしいって連絡すれば良かったのにね」

龍兎りゅうとの部活が終わるまで校門でスマホでも触って待っておくか」

 それから一時間後、部活が終わった龍兎りゅうとと三人で手紙に書いてあったゲームセンターNEXTに向かった。

「おいそういえば何で俺たち三人は、あいつら二人のことを覚えてんだ?生まれていなかったことにされてただろうが」

「それと誰が郵便をポストに入れたのかよ。他の皆は忘れてるから送ることが出来ないのに消印まで押されてた有り得ないことがおきているわ」

「話しているうちに着いたよ」

 ゲームセンターNEXTの前に、見た目は若いけど総白髪に、黒いスーツの男がいた。

「ご来店のお客様でしょうか?私はこのゲームセンターNEXTの支配人兼オーナー兼一般店員の白鳥しらとりと申します。失礼ですが紹介状をお持ちでしょうか?」

 三人は紹介状がどれか分からず送られてきた郵便を渡す

「当選者の郵便ですか、確認しましたので私についてきてください」

 白鳥しらとりと名乗った男は目の前にある入口へ入らず裏に回ってそこにあるドアを開けて入っていった

「どうぞ入ってください。さてと本題に入る前にとりあえず、そこにあるソファーに座ってください話はそれからです」

「早速本題に入りますがその前にその郵便がいつ頃あなた達に届けられたのか、そして記憶が何故あなた達だけ残っているのか、それを説明するとしましょう、まず送られたのは彼女たちが転生し、存在しなかったことになったその日の晩です。郵便の存在に今日まで、気がつかなかったのは私が認識を阻害していたからです、送られた理由は記憶が残っている理由と同じなので一緒に説明します。転生をする際に雪乃ゆきのさんが[せっかく転生するなら海斗かいと達三人ともう一度楽しく生きてゆきたい、でも先に転生して強くなって驚かしたいから少しでいいからあの子達の転生は遅らせて]と申していたからです。それが阻害していた理由です。それともう一つこの郵便の中身も一つだけ認識阻害をかけていました」

「このワンゲーム無料と書かれたチケットですね」

「正解です。本当は今から行くか聞こうと思っていた異世界への招待状です、冗談だと思われたくなかったのでかけさせて頂きました、さて遅くなりましたがあなた達には二つの道が存在します、一つ目は今までの全てを捨てて転生する道、二つ目はここでのことを全て忘れてこの世界で生きる道、どちらを選びますか?」

 それから三人は5分間話し合った。

「異世界に転生します。記憶が残ると思いますから」

「そこにすぐに気付きましたか。この世界の記憶が無ければ会えないことに、面白い。早く会えるように願っていますよ。では決まったようなので左側にある扉に入ってください。後は私の上司が説明してくれます。では次に会う時は本来の姿で本名を名乗らせて頂きますよ。」

 三人が扉を開けて中に入るとなぜ見えているのか分からない程暗い部屋の中に二人の人間?がいた、一人は黒い長髪に白いタキシードとシルクハット、そして、淡い水色の杖をついている、もう一人は黒い髪に淡い緑色のドレスを着ている。

「三人が来たみたいだよバロちゃん。私は君達が転生する世界ニーベルングの初代創世神ハティ。もう一人は元私の部下で今は親バカ子煩悩の反逆神バローグ。ここに来たってことは三人共転生する覚悟をもう持っているみたいだからあまり野暮なことを言うつもりはない。それに、天魔の白鳥しらとりが加護を与えるような君達だ、私達が隠した世界の真実に気付いてくれると信じて待っている」

「ついさっき紹介されたが反逆神のバローグだ。世界の説明をしていないうえにギフトを与える前に送られそうだと思ったので少し話させてもらう。まずは君達には十個のギフトを与えるそのうちの三個は決まっているので残りの七個を選んでもらう、与える三個は不老・思念伝達・ギフト共有、不老は老いない力だ、年齢による身体の衰えも無くなる、思念伝達は、考えている事や見ている情景をテレパシーとして送る力、ギフト共有は君達が選び、僕たちが与える七つのギフトを許可した相手も使えるようにする力、それ以外に関しては自分達で見て確かめてくれ。」

「バローグさん、まず加護って何ですか?」

「そっちの説明はしてなかったか、加護とは神・天使・悪魔などが自分の眷属などに成長の可能性を広げたりする為に与える力の事で天魔が与えたのは五感強化・魂の拡張・治癒能力強化・身体能力強化の4つ。私達二人の加護も同じ効果だから重複しているぶん強くなっている。具体的には50メートルを二秒で走れるようになるくらいだ。あの世界は剣や魔法がある世界で強さは種族とレベルで決まる、ただそれに当てはまらない奴らがいる、あの世界の人間はそいつらをカラー単語ワードと呼んでいる、その中には私に匹敵する強さの魔物もいる気を付けてくれ、後はあの世界の大陸は三つ、人の大陸と魔族の大陸はユーラシア大陸とアメリカ大陸を足したぐらいの広さを持っている、そして残り一つの大陸は魔境や死の大陸と呼ばれていて、他全ての大陸の倍の広さを持っている。最後に武器だが作れる奴を案内役に付けるからその娘に作って貰ってくれ、説明は終わったぞ・・・ハティ様何をしてるので?」

「依り代を作ってる。肉体があれば私もあの世界に行ける。だからその肉体を作ってる。その方法ならあいつに会いに行っても問題無い」

「仕事があるので無理です。あの方も二つの肉体を同時に動かしているから可能なだけです。諦めてください、いくら好きだとしても少し怖いので何が何でもあの世界に行こうとするのはやめてください」

「あいつが気付いてくれたらね」

「遊び場にならいいです。但しそこから依り代も出ないこと。そして仕事もすることそれが条件です」

「すみませんがいつになったら転生するのでしょうか」

「今から転生してもらう。すまない忘れていた、他に質問はあるか」

「転生したら見た目は変わるのかそれともそのままなのかどっちだ?」

「肉体は変わるけど見た目はそのままだよ、種族も変わる可能性があるから少し覚悟をした方がいいよ。話も終わった」

「「異世界ニーベルングへようこそ。初代創世神と」反逆神の名において歓迎しよう。良き異世界ライフを」

 少し戻って主人公達が扉を開けて中に入った頃

「今回の仕事もそろそろ終わり。後はこの場所とあの三人が生きていた痕跡を消すだけ、そしたら念願だった天楽奏器てんがくそうきセイレーンそれが貰える、あれさえあれば今よりも更に孤児や動物を治してあげられる、その為にも早めに終わらせないと・・・ついさっき送ったあの子達なら癒しの蟲毒を創ることができるかも、次はいつ会えるかな、僕みたいな天使と悪魔の混血児でも普通に話をしてくれるかな、両親や同僚以外は育ててる孤児の子供達か森の動物達しか僕と話をしてくれなかったから、望みは薄いかな」


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